「解放新聞」(2008.06.02-2372)
人権研修が形骸化
糾弾会には、差別発言をしたY、大阪府商工会連合会の代表らが出席。府連からは、村井康利・副委員長はじめ関係者、企業連からも代表が参加した。
Yは、小学生のころ「よつ」「えた」とよぶことや、「牛を殺して特殊な仕事をしている怖い人が多く、遊びに行ったらあかん」などと聞かされていた。また発言した時期は、飛鳥会事件などの報道があり、子どものころの経験が混ざり合い、部落民は怖いと感じていたという。
部落への差別意識に加えて、Yは同和研修そのものにも「寝た子を起こすな」との考えをもっており、研修をすること自体に不満をもっていた。自身の腰痛から、研修室や椅子の狭さなど研修環境への不満もあって、いらだちをぶつけるような気持ちで「よつの研修」という発言をおこなったとのべた。また、Yは経営指導員として数多くの同和・人権研修を受けてきたが、その内容は「ほとんど覚えていない」と答えた。
参加者から、「よつ」という言葉には、「あなたは人間ではない四つ足の動物と同じだ」という意味が含まれ、部落民の存在そのものを否定する差別的な言葉であるとの指摘があり、Yは「心からお詫びしたい」とあらためて謝罪した。
府連からは、①Yが同和研修、人権研修を数多く受講しながら考えが変わらなかったということは、研修のあり方、内容そのものが問われている②Yは自分以外の多くの経営指導員も研修を無理矢理受けさせられていると感じているとのべており、人権研修のとりくみが形骸化している③さらに研修が逆の効果をもたらしていることなどからY以外にも不満をもつ人が多いのではないか、などを指摘した。
今後のとりくみとしては、Yには「寝た子を起こすな」の意識改革とともに、自分の内面を見つめ直し、行為の愚かさ、差別を受けるものの痛みを感じることができるようとりくむこと。大阪府商工会連合会には、参加型学習会の導入など研修の抜本的改革に向けて「あり方検討会」を設置すること。大阪府には、指導責任をふまえて、連合会が実施する啓発、研修に積極的に関与・支援することなどを求めた。
*経営指導員とは、小規模事業者(常時雇用する従業員が20人以下の事業所、商業・サービス業は5人以下)の経営や技術の改善を図るため、相談や指導をおこなう商工会などの職員。
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