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人権教育「第3次とりまとめ」を
活かし各地のとりくみを強化しよう
「解放新聞」(2008.06.09-2373)

 文部科学省「人権教育の指導方法の在り方について[第3次とりまとめ]」が今年4月公表された。「人権教育・啓発に関する基本計画」(02年)の指摘を受けて、これまでに「第1次とりまとめ(04年)」、「第2次とりまとめ(06年)」が公表されてきた。「実践的なノウハウ等の情報を求める要請」が大きくなり、それに応えようとさらに検討をすすめ、再編成されたものが、この「第3次とりまとめ」である。
  中央本部では「第3次とりまとめ」の「実施状況調査」を求めているが、これまでの同和教育の経験と成果をふまえ、「第3次とりまとめ」の積極面を活かしていくためにも、各自治体レベルで学校教育の人権教育基本方針などを策定し、各地で人権教育の具体的な実践を創造していくことが求められる。その一環として、本年度から全国約1800か所で導入予定の「学校支援地域本部事業」を人権教育の視点から積極的に活用していくことを提起しておきたい。

 学校支援地域本部事業とは、「開かれた学校づくり」をとおして「地域の教育力を高める」とりくみの一つであり、学校支援を通じた地域の連帯感形成を主眼としており、地域住民が学校活動に参加することで、学校支援を通じた地域の連帯感の形成や地域の教育力の再生が図られ、その結果として、子どもたちの学習意欲や学力の向上につながっていくことが期待されている。
  また、「第3次とりまとめ」では、学校教育活動全体を通じて人権教育を推進することの重要性とともに、人権教育の基盤づくりとして、「学校での人権学習を肯定的に受容するような家庭や地域の基盤作りが大切であり、保護者等のエンパワメントを促進することが求められること」や、「地域の教育力を活用する」し、「各教科の特質に応じて、地域のひと・もの・ことや施設等、地域の教育力を計画的・効果的に活用して、教育活動全体を通して人権教育を推進する」ことが示されている。

 つまり、「学校支援地域本部事業」の趣旨・目的と「第3次とりまとめ」の指摘をふまえるなら、特別な資格や技能を有する人だけが学校支援活動に参画するのではなく、校区内に居住する被差別・マイノリティをはじめ多様な人びとが学校支援に参画し、そのための条件整備を図っていくことが重要となる。
  子どもたちや教師たち、そして地域のあらゆる人びとが学校を拠点に協働することで、それぞれがエンパワメントされるとともに、差別・被差別の関係から脱却した、おたがいを尊重し協働していく新たな関係が紡ぎだされることが期待される。こうした営みこそまさに人権教育の重要な実践であり、人権のまちづくりの視点からも各地域でとりくむべき重要な課題である。
  ぜひ、各地で人権教育の視点から学校支援地域本部事業にとりくみ、学校発人権のまちづくり運動を展開していこう。

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