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部落問題資料室
NEWS & 主張
国会が先住民族決議
アイヌ民族認め全会一致で

「解放新聞」(2008.06.23-2375)

先住民族の権利宣言」ふまえ法的措置による総合的施策を

当事者の代表を有識者懇に
  「アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議」が6月6日、衆・参両院の本会議で全至致で採択された。これまでアイヌ民族を先住民族と認めず、法律にもとづく総合的な施策の確立を怠ってきた日本政府にたいし、北海道ウタリ協会をはじめ、当事者が闘いとった歴史的な一歩だ。
  早急に、先住民族として認め、総合的施策を確立するよう、決議された。
  国連では昨年9月、先住民族の個人・集団の広範な権利を認めた画期的な国際基準「先住民族の権利宣言」が採択された。このとき、日本政府は賛成票を投じたが、「独立・分離権を認めない」「集団的権利としての人権を認めない」「財産権は第三者や公共の利益との調和を優先する」と解釈宣言をつけた。しかも、先住民族の定義がない、を理由にアイヌ民族を当該の先住民族と認めなかった。
  この状況にたいし、北海道ウタリ協会は、先住民族認知、アイヌ民族の代表を含む審議機関新設、法的措置によるアイヌ民族の総合的施策の確立を求めて運動を展開し、今回の決議をかちとった。今後、新設される有識者懇談会へのアイヌ民族の代表者の参加、法的措置による総合的施策の確立が大きな課題だ。

国際的潮流・価値観共有し
  決議は、国連「先住民族の権利宣言」の趣旨を体した具体的行動が求められている、日本近代化過程でのアイヌ民族の差別・貧窮の歴史的事実を厳粛に受け止めるべき、先住民族が名誉と尊厳を保持し、文化と誇りを次世代に継承する国際社会の潮流・価値観の共有は21世紀の国際社会をリードするためにも不可欠、などを指摘し、つぎの施策を早急に講ずるべき、とした。
  ①先住民族の権利宣言をふまえ、アイヌの人びとを日本列島北部周辺、とりわけ北海道に先住し、独自の言語、宗教や文化の独自性を有する先住民族として認める②先住民族の権型塁口採択を機に、同宣言の関連条項を参照しつつ、高いレベルで有識者の意見を聴きながら、これまでのアイヌ政策をさらに推進し、総合的施策の確立にとりくむ。
  北海道ウタリ協会は5月22日には首都圏の当事者団体とともに東京・日比谷公園で集会をひらき、250人が参加した。大規模な国会誓願アピール行進を16年ぶりに展開し、両院議長に「アイヌ民族の先住権確立に関する請願書」を提出した。翌23日には、北海道選出国会議員をはじめ超党派の「アイヌ民族の権利確立を考える議員の会」が決議案の原案をまとめた。北海道知事も6月4日、アイヌ民族の権利確立を求める2回目の要望書を官房長官に提出していた

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