【長野支局】あらたに(未報告の)差別戒名墓石が中野市内2か所で発見され、その後、地元での調査をすすめ、一部の差別戒名墓石が過去帳で確認された。一方、行政や寺の部落差別、差別戒名問題にたいする認識の甘さが露呈した。今号では、昨年実施した現地調査と、今後のとりくみについて報告する。
現地調査の報告
県連は、昨年6月に中野市協議会から中高地区協議会を通じて報告された差別戒名墓石について、発見された経過などを確認するために同年6月20日に現地調査を実施した。
この現地調査には、同和問題にとりくむ長野県宗教教団連絡会議(長野同宗連)から原田光則・渉外広報部長と中島清志・浄土真宗本願寺派長野別院相談員、行政からは中野市人権政策課の町田修・課長ほか2人、中高地区協議会の芝内敏幸・議長、中野市協議会の役員3人、県連からは星沢重幸・副委員長が出席した。
中野市内A地区で発見された墓石は、児童センター建設計画予定地の区有地にあった。区は、近くの寺(曹洞宗)へ「無縁仏」として移転し供養した。その後、区長が「差別戒名」墓石と気づき報告されたもので、寺の無縁仏供養塔に安置された6基の差別戒名墓石が確認された。
またB地区で発見された墓石は、A地区の報告を聞いた人が「他にもある」と報告して分かったもので、墓石は区の運動広場の入り口にあり、近くの寺(浄土宗)の所有地にあったというもの。調査は、区の役員や墓石のある土地を所有している寺の住職も参加して確認をおこなった。墓石は10数基存在した。区の役員は「周辺に散在していたものを集めた。以前から差別戒名だと認識していた」と説明。寺の住職は「先代からはあると聞いていた。うちのじゃないし、うちには関係ないから(本山には届けなかった)」と話した。
現地調査後、今後のとりくみとして、①墓石は所有者が不明。差別戒名は曹洞宗系のものが多く、中高地域の寺(曹洞宗)で調査する②A地区の墓石が発見されたさいの特定調査が不十分で、差別戒名の学習をおこなっているはずの行政関係者が、あとになって気づいた課題③B地区の「以前から知っていた」区民や寺の認識の課題④墓碑が見つかったときの行政対応の課題、などが提起された。
星沢県連副委員長は、「差別戒名を刻まれた墓石に手を合わせていた先祖の姿、何と無念であろう。しかも、人知れずひっそりと100年以上の歳月が流れた。この深刻さ、無念さをしっかり受け止めて、宗教、行政関係者とともにしっかりととりくんでいきたい」と現地調査をまとめた。
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