pagetop
部落問題資料室
NEWS & 主張
主張

 

反戦・反基地の闘いをすすめ
日米軍事一体化を阻止しよう
「解放新聞」(2008.09.15-2387)

 この10年で、日米軍事一体化が急速にすすんできた。そして日本は、「テロとの戦い」や「国際貢献」の名のもとに、米国とともに戦争をする道を歩みはじめている。私たちは、「二度と戦争はしない」との誓いと憲法の平和主義を再確認し、これを許さない闘いを強化しなければならない。
  この間、97年の「新ガイドライン(日米防衛協力の指針)」で日米安保条約の「再定義」がなされたのを皮切りに、安保協力の範囲が「日本の防衛」から「周辺事態」へとなし崩し的に拡大され、有事立法が立て続けに強行採決され、米軍と共同で戦争をする体制がつくられてきた。
  そして、01年以降の「テロとの戦い」を契機とした米軍再編がはじまり、これに日本政府は積極的に協力し、日米軍事一体化を急速に推しすすめている。この間、米国の求めに応じて自衛隊のインド洋とイラクへの派兵という憲法違反が強行されたが、このような状況が常態化され、さらに大きくすすめられようとしているのだ。
  基地機能など具体的な動きをみると、神奈川県・座間基地への米陸軍第一軍団司令部の移駐と陸上自衛隊「中央即応集団司令部」新設、東京都・横田基地に航空自衛隊総隊司令部を移動、神奈川県・横須賀の原子力空母母港化と第7艦隊との連携、ミサイル防衛システム(MD)導入、全国レベルで自衛隊と米軍の基地の相互乗り入れ、共同訓練、民間利用の促進など、米軍再編に応じた米軍と自衛隊との一体化が推進されている。
  米国は、第2次世界大戦後もたびたび戦争を繰り返し、最近は「テロとの戦い」の名のもとに他国の政権転覆のための先制攻撃を正当化しており、武力による威嚇も繰り返している。その流れのなかに日本を組み込むのが、米軍再編と日米軍事一体化であり、これを阻止することが私たちに求められている。

 この米軍再編と日米軍事一体化の進行は、費用面からも多くの問題がある。
  日米安保条約では、日本が用地・施設を無償提供し、米国が基地整備やその他の駐留経費のすべてを負担すると定めている。しかし70年代に財政難におちいった米国は、日本に駐留経費の一部負担を要求してきた。米国の要求を受け入れた日本政府は、「思いやり予算」などとごまかし、78年に駐留軍労働者の福利費の一部、62億円を支出、以来5兆3700億円が支出され、08年度は2083億円と負担額も桁違いに増えている。
  さらに米軍再編にともなう経費は、沖縄海兵隊のグアム移転費用7600億円をはじめ、在日米軍基地の施設整備や新設などとあわせて、日本の負担総額は3兆円といわれている。
  このような税金の使い方を許してはならない。この税金を国際的な社会開発や国内の社会的セーフティネットの充実のためにこそ使うべきではないのか。それこそが平和をつくる道である。

 事故、騒音、兵士による犯罪など、さまざまな形で起こされてきた基地被害も深刻である。
  横須賀基地は多くの反対にもかかわらず米海軍空母「キティーホーク」の母港とされてきたが、退役することが決まり、こんどは原子力空母「ジョージ・ワシントン」が配備されようとしている。
  原子力空母は、原子力を動力とするため、その危険性が指摘されている。原子炉が破壊されたり放射能もれが起きれば、被害は広範囲におよぶ。げんに「ジョージ・ワシントン」は日本に向けて出航したあと、海上で火災事故を起こしている。また、日米地位協定で日本側は空母への立ち入り検査もできず、安全確認もできない。一方で今年、原子力潜水艦「ヒューストン」が佐世保に入港時を含め2年間にわたり放射能漏れを起こしていたことも明らかになった。私たちは、このような原子力空母の横須賀母港化を見過ごすわけにはいかない。
  7月19日の「原子力空母の横須賀母港化に反対する全国集会」は、全国各地から1万5千人の参加でひらかれ、母港化反対を強く訴え、部落解放同盟も全国から参加した。しかし、報道などによると、米海軍の原子力空母「ジョージ・ワシントン」は、9月下旬に横須賀に再入港することが濃厚だ。25日には、母港化阻止の横須賀集会も開催される。
  原子力空母の母港化に反対するとりくみをはじめ、反戦・反基地の闘いを強め、日米軍事一体化と戦争への道を阻止しよう。

「解放新聞」購読の申し込み先
解放新聞社 大阪市港区波除4丁目1-37 TEL 06-6581-8516/FAX 06-6581-8517
定 価:1部 8頁 115円/特別号(年1回 12頁 180円)
年ぎめ:1部(月3回発行)4320円(含特別号/送料別)
送 料: 年 1554円(1部購読の場合)