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情報に関連するテクノロジーは、歴史において予想もつかなかったような変革の口火を切ってきた。今日でも情報技術の進歩にともなう社会の急速な変化は、私たちの世界観を変え、世界観の変化がさらに情報環境を変えようとしている。それは部落問題でも例外ではない。「電子版・部落地名総鑑」差別事件をはじめとするネット上の差別事件の顕著な増加に端的にあらわれている。2
2006年9月、私たちが回収した「電子版・部落地名総鑑」は、これまで明らかになっている10種類の「地名総鑑」の「第8」と「第9」が電子化されたものであり、全国5千数百の被差別部落の所在地が正確に掲載されていた。これらの「電子版・部落地名総鑑」が流出すれば、取り返しのつかない事態になる。3
インターネットの特徴としてあげられるのは、時間的地理的制約がないことであり、不特定多数の人に情報発信ができ、匿名性が多くの場合保障され証拠が残りにくいということである。さらに複製や再利用がこれまで以上に容易であり、情報の連鎖性・更新性などを持つということである。4
インターネットの特徴を最大限悪用したネット上の差別事件は、一部を除いて十分な対抗措置や法的措置もとれないまま事実上放置されている。一定のとりくみを展開している公的機関や民間機関が存在するが、「焼け石に水」状態である。5
とりわけグーグルが提供するグーグル・マップは、究極の「電子畢部落地各総鑑」につながる。検索エンジン・シェアトップは、日本ではヤフーであるが、世界では圧倒的にグーグルである。そのグーグルが日本国内で始めた「グーグル・マップ」の「ストリートビュー」というサービスでは、キーワードを打ち込むだけで必要な地図だけでなく、その6
フランス、イギリス、ドイツ、カナダ、イタリアなどの諸外国では、プライバシー保護、個人情報保護の観点から、このサービスにたいしてきわめて憤重な態度をとっている。日本ではそのような声はほとんど聴かれない。今一度、インターネット上の差別事件へのとりくみを各地で強化しなければ、これまでのとりくみが水泡に帰す。「解放新聞」購読の申し込み先
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