pagetop
部落問題資料室
NEWS & 主張
柳原さんの国賠支援へ
富山で冤罪永見事件の集会

「解放新聞」(2008.10.20-2391)

 「富山(氷見)冤罪事件を考える市民の集い」が9月20日、富山県民会館でひらかれ、県内外から80人が参加した。主催は富山冤罪国賠を支える会。
  2002年に氷見市で起きた強姦事件で犯人とされた柳原浩さんは、懲役3年の実刑判決を受け、服役を余儀なくされたが、服役後になって真犯人があらわれたことで、検察が柳原さんは無実だったと再審を申し立てるという異例の経過をたどって、昨年10月に無罪が確定した。柳原さんと弁護団は、国家賠償を求める訴訟を準備しており、集会はその支援のためのもの。
  集会では、弁護団の村田慎一郎・弁護人が事件の概要と国賠に向けたとりくみを報告。村田弁護人は、「任意捜査の段階で警察が柳原さん宅から押収した電話記録で柳原さんのアリバイは明らかだった。見落としたことになっているがありえない。柳原さんは強姦・強姦未遂の二つの事件で犯人とされたが、あとにあらわれた真犯人は同様の手口で多数の犯行を繰り返しており、柳原さんの公判中にも氷見市内で被害届が出されていた。犯人でないことは、はじめから警察も分っていたはず。国賠ではなぜ、柳原さんを犯人に仕立てていったのかも明らかにしたい」と話した。
  柳原さんは、「任意の捜査だということも、何の容疑かも説明されず警察に連れて行かれ、わけの分からない取り調べがずーっと続いた。二日目になって、お前は女の子に乱暴したのではないかといわれ、していないと答えると、ウソをつくなと威圧された。取り調べ中に気を失い、気がつくと母親の写真を出せといわれた。気を失っている間に所持品を調べたのだろうと思う。母親の写真に向かって、やっていないといえるのか。姉さんたちは、どうにでもしてくれといっている」などと、長時間の取り調べで心理的に追い詰められ、ウソの自白をしたと、経緯を話した。
  主催者を代表して同志社大学教授の浅野健一さんは「地元である富山で柳原さんが発言した意味は大きい。支援の輪を拡げよう」と訴えた。
  鹿児島・志布志事件の闘いとの交流では、志布志事件の国賠裁判弁護団の野平康博・事務局長が、事件の概要と国賠裁判の現状を報告。原告の山下邦夫さんは、「4回目の取り調べで、他の皆は認めているんですよ。あなた一人が認めてくれれば皆が帰れるといわれ認めてしまった」と涙ながらに取り調べのようすを話した。川畑幸夫さんは、「踏み字」を再現して、「違法な取り調べを許さないためには取り調べの全面可視化が必要」と訴えた。
  最後に庭山英雄・弁護士が「誤判壷罪防止と証拠開示」と題して講演。庭山さんは、松川事件の「諏訪メモ」や免田・財田川・松山事件などの死刑事件で証拠開示が再審のカギになり無罪をかちとったことを例に、これまでの冤罪事件の教訓を生かしていないと指摘。国際的な制度や考え方を紹介し証拠開示の必要性を話した。そして、日本の刑事司法をまともなものにするためにも氷見事件の国賠に勝利しようと訴えた。    

富山冤罪国賠を支える会


「解放新聞」購読の申し込み先
解放新聞社 大阪市港区波除4丁目1-37 TEL 06-6581-8516/FAX 06-6581-8517
定 価:1部 8頁 115円/特別号(年1回 12頁 180円)
年ぎめ:1部(月3回発行)4320円(含特別号/送料別)
送 料: 年 1554円(1部購読の場合)