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部落問題資料室
NEWS & 主張
生活保護を理由に入居拒否
滋賀県内のJA賃貸住宅部門が

「解放新聞」(2008.12.08-2398)

 【滋賀支局】居住権は重要な基本的人権-07年9月に県内のあるJAの賃貸住宅部門で、アパートの入居相談に訪れた女性にたいして生活保護を受給していることを理由に入居を拒否するという事件が発生した。この賃貸住宅入居拒否事件は、05年に県内の宅建業者によって発生した同和地区問い合わせ差別事件を契機に人権問題実態調査と全国的にも先進的な「宅地建物取引業における人権問題に関する人権指針」を06年4月に策定し県内のすべての宅建業者に通知した矢先のこと。県連は、その人権問題実態調査の結果(後述)から「今回の賃貸住宅の入居拒否事件は起こるべきして起こった」と判断し、入居拒否は重大な人権侵害事件としてJAをはじめ関係行政・企業などと、入居差別・土地差別の実態について学習会を重ねてきた。そして9月4日の第6回学習会で、賃貸業務の点検と見直し、同和問題・人権問題を経営の中心にしたJAの見解をまとめた。

体質の改善をはかり学習会
  事件は、07年9月1日、チラシを見てJAにアパート入居相談にきた女性に、対応した者が「生活保護ですか……」「申し訳ございませんが安定した収入がない方には、JAとしてはお貸しできないんです」と入居斡旋を拒否したもの。
  県連は、生活保護を理由に賃貸住宅の入居を拒否したことは基本的人権を侵害する重大な差別事件としてとりくんできた。また、05年の同和地区問い合わせ差別事件を契機に県内の宅建業者にたいして実施した人権問題実態調査で、外国人50.3%、高齢者25.3%、障害者18%、母子父子家庭18%という入居拒否の実態が明らかになり、入居拒否の改善が宅建業者はもとより行政にも求められていた。今回、入居拒否をされた女性も母子家庭。
  学習会のなかで、JAの入居受付票には「正社員勤続2年以上」の項目やさまざまな添付書類を求め、さらに、反社会的団体を排除するために面談時に相談者の服装や言葉づかいで判断する内部マニュアルの存在も判明、企業の社会的責務を無視した「家賃回収」という利益第一主義の経営姿勢が明らかになり、受付関係書類や入居審査などの見直しがはかられた。
  またJAは、06年の人権指針や人権問題実態調査ばかりか、県土木交通部や国土交通省からも人権問題に関するさまざまな通知・通達が出されているが、一切軽視してきた経営体質も判明した。さらに、同和問題を解決するために設置されたJAの同和対策推進委員会の形骸化も。
  こうしたことから、JAは、利益第一主義の経営から人権尊重を中心にすえた経営への転換をはかる。そのために①入居基準・申込み用紙をはじめとした諸用紙や対応マニュアルを見直し改善する②人権関係法令・通達・通知を学習し業務のなかで徹底するなどとし、全職員が同和問題・人権問題の解決に向けてとりくみ、同和対第・人権対策のプロジェクトを結成するなどの見解をまとめた。
  県連は、「問題は、この見解が「画に措いた餅」にならないようJAの職員一人ひとりが理解し実践することが重要」とのべた。


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