「解放新聞」(2009.03.02-2409)
部落があり不人気と
土地開発の事前調査で
大阪市内のマーケティングリサーチ会社による差別事件では、府連による事実確認などから部落という土地を当然のように差別し、排除する実態が浮かび上がった。
部落強調し低い評価に
【大阪支局】大阪府連が独自に入手した情報で、報告書にはマンションなどの建設予定地を含む市区全体の動向や、今後の予定動向、立地特性などが書かれていることがわかった。
この立地特性のなかに地域性、学区評価の項目があり、「解放会館などが目立ち敬遠されるエリア」などと、部落の土地をおとしめる表現で報告していた。
報告書には、大阪市内の部落を地図上で示し、「一部問題がある地域(○○1~2丁目)」として周辺でもっとも低い評価をつけたり、地名をあげて「旧・〇〇部落があり、市営改良住宅化されている」と部落であることを強調するなどしていた。
また、建設予定地周辺を地図上で区分けし、エリアごとに10点満点の評価をしているものもあった。そこでは、部落を含む地域について「○○区では最も評価が低くなるエリア。一部問題地域もある」などとして部落であることを示唆している。
府内のある市に関する報告では、市内全域を地域ごとに分析し、評価付け。「評価内容」として理由を説明し、現在の町名をあげて「旧○○部落」と明記したり、市営住宅や解放会館、寺院、温泉、斎場などを「アイテムも揃っている」などと表現して低評価をつけているものもあった。この報告書には、「校区対照表」がつけられ、部落を含む地域について「大不人気」などとして評価を「×」としている。
未指定部落についても「要注意地区」として低評価をつけていた。また、ある市では、すべての校区を調査したうえで、「率直に同和問題に関わってくる地域」などとして、部落を含む校区に低評価をつけているものもあった。
業界全体の糾明へ全力
府連はこれらの事実をもとに調査員からも事実を確認。同社では、依頼があると現地に出向き、不動産業者などから聞き取りをすることもあったことがわかっている。
そのさい、利便性、地域イメージ、近隣の状況などをおもに聞くが、不動産業者は、部落の所在地について「あれ」などと間接的に表現し、調査員は謝礼として500円の図書カードを手渡すという。これらの情報は会社で共有され、報告書は社内のだれもが閲覧できる状況になっていた。また依頼主から部落かどうかの問い合わせがあれば答えており、情報が報告書以外にも使われていたことが明らかになっている。こうした「問題のある報告書」について、調査員は「全体の1割にも満たないのでは」としているが、府の指導後にシュレッダーで破棄したとしており、定かではない。
報告書や事実確認から不動産業界に土地差別が確実に存在すること、この実態を差別行為であると認識していないことが明らかになった。府連では闘争本部を設置し、糾明にとりくんでいくこととしている。
土地差別事件とは、不動産取引や購入、賃貸、物色などにあたって部落との関係をたずねたり、調べたり、教えたりする行為。府が把握しているだけでもこの10年間に90件におよぶなど、根深い実態を示している。
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