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部落問題資料室
NEWS & 主張
「部落があるのかどうか」と
市と隣保館へ問い合わせが

「解放新聞」(2009.03.02-2409)

 【長野支局】結婚のさいの身元調査を目的に、長野市保健福祉部人権同和政策課と同市内の若穂隣保館に昨年10月28日、1時間に3回、「部落があるのかどうか」、そして「部落の名字」を問い合わせる差別事件があったことが明らかになった。長野市は、市職員にこの差別事件を伝え、対応の徹底を図るとともに、教育・啓発のとりくみを強めることにした。

1時間に3回も結婚をめぐって
  電話の人物は、名前をいわないので同一人物かどうかは断定できないが、電話を受けた隣保館職員らによると年配の男性の声だったという。
  当日の電話のやりとりはつぎのとおり(概略)。
  ①10時10分ごろ。長野市保健福祉部人権同和政策課へ、「運動体の支部はあるか、若穂に支部があるか」との問い合わせの電話があり、「支部の状況まではわからない」と答えると、「行政が知らないはずがない」といって電話を切った。
  ②10時30分ごろ。若穂隣保館に電話。「隣保館は歴史的に部落の近くに建てられているが、近くにそういうところがあるということですね。縁談のことで人から頼まれて電話している。そちらでそういう地区があるか。○○とか、○○のそばだから…。たくさんあるんですか。私は今では問題にしていないが、人から頼まれてむげにもできない。そういうところでは、名字とかあるようだけれど」と。応答した職員が「館長でない」と返答。
  ③10時50分ごろ。再度電話。「先ほど電話した者だが、尋ねたいことがある。隣保館ということなので、そういう部落があるのか」。館長が「なんという方でなぜそういうことを調べているのか」と聞き返すと、「(名前をいわず)実は、婚姻にかかわることで、知り合いが結婚するので知りたいといっている。私が調ベてやると返事した」と答えた。ふたたび館長が名前・住所を聞くと、「部落があるのかないのか、部落の名字がどうなのかが分かればいい」と答えた。館長が「どんな部落でどんな名字の人と聞かれても答えられない。人権侵害だ」と伝えると、「そんな、いい方があるか」と答え。館長が回答できない理由をのべようとすると電話を切られた。
  事件の翌日の29日、長野市は、事件の内容を市職員につたえ、こうした事例の対応などについて徹底した。さらに、啓発資料などにも、この事件を掲載し、教育・啓発のとりくみを強めていくことにした。


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