「解放新聞」(2009.03.23-2411)
【滋賀支局】「エタバス」と県内のバス会社の路線バスに差別落書(07年7月)がされた。この差別落書事件の解決に向けて地元の部落解放同盟びわこ南部地協の仲間や関係行政、機関団体が事実調査や関係者との調整会議をひらいてきた結果、実行行為者は特定できなかったが一定の解決に向けたとりくみが確認されたのを機に「差別落書きを考える学習会」を1月28日、甲賀市でひらき、1125人が参加。「差別落書」から差別の実態を学び、人権確立社会の実現に向けた企業として、行政として、一人の住民として何ができるのか、何をしなければならないのかを学び、明日からの実践に結びつけていくことを確認した。
とりくみ総括し学習会もつ
「差別落書きを考える学習会」は、企業・事業所対象と住民対象の2回に分けてひらいた。事業所対象は、甲賀市の碧水ホールで企業・事業所から担当者ら407人が参加。住民対象は「あいこうか市民ホール」で午後7時からひらき718人が参加した。
主催は、バス会社や甲賀市など20団体で実行委員会を構成。実行委員長は、甲賀市副市長の安田全男・同市同和対策本部長。
学習会では、安田実行委員長が、「実行行為者を特定することはできなかった。しかし、このような差別落書は、長年にわたって多くの人たちが同和問題の解決に向けてとりくんできた努力を踏みにじるとともに、差別に苦しんでいる人びとにたいして誹譲、中傷するという卑怯きわまりない悪質な差別行為である」と訴えた。
つづいて甲賀市の見解、バス会社の見解を報告した。そして差別落書の被害者でもある部落解放同盟びわこ南部地協の坂本正幸・副議長が、みずからの被差別体験を交えて今回の差別落書事件の糾弾要綱を説明した。
坂本さんは、「バス会社に就職した直後に同僚によって結婚差別を受けるなかで退職せざるを得なかったが、その後、会社の仲介で復職できた。今回、退職を間近に控えたときに、自分が担当しているバスに差別落書されるという2度目の差別を受けた。
最初の結婚差別のときは、部落解放運動のことを何も知らなかった。同僚から「俺がやめるか、お前がやめるかどっちや」と問い詰められ、みずから会社を辞めた。その後、部落解放運動と出会い、参加することによって、「差別は差別するほうが悪い」「泣き寝入りしても差別はなくならない」「差別をなくすために闘うことの必要性」などを学んだ。だからこそ、35年前の結婚差別も話すことができるし、当事者の社員とも人間関係を修復することができた。
一方で、会社の部落、人権問題にたいするとりくみの弱さ、それに起因して社員の人権意識も弱いことが明らかになった。企業全体が積極的に部落、人権問題にとりくんでいく必要がある。先頭で闘い抜く」と決意を表明した。
その後、近畿大学の北口末広・教授が「部落差別の現状と課題」と題して講演し、参加者が学習を深めた。
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