「解放新聞」(2009.04.06-2413)
第18回日教組人権教育実践交流集会が1月17、18日、群馬県高崎市でひらかれ110人が参加した。
この集会は、日本教職員組合(日教組)の各ブロック選出の人権教育推進委員と関係団体(全国同和教育研究協議会・部落解放同盟など)や学識経験者でつくる「日教組人権教育推進委員会」が企画・運営し、あらゆる差別の撤廃と人権確立に向けた全国各地のとりくみの交流を目的に、各ブロックもち回りでひらいているもの。今年度は関東ブロックで群馬県。
4つの分科会とフィールドワーク
集会では、基調報告で「子どもたちが自分らしく生きにくい状況になっているなか、日教組がこれまですすめてきた人権教育がますます重要性を増しており、いまこそ子どもたち一人ひとりを大切にする教育をすすめよう」と提案した。
集会では、記念講演と4つの分科会、フィールドワークをおこなった。
第1分科会「憲法'47教育基本法と人権教育」は、北海道の小学校から「アイヌの学習を広め、実践する」、熊本の小学校からは「一人ひとりが安心してくらせる社会を目指して」とハンセン病と向き合った実践が報告された。
第2分科会「部落問題学習のとりくみ」は、「定時制こそ私の学校」と大分の定時制高校の実践が、広島の特別支援学校からは劇のとりくみから自分に向き合う実践が報告された。
第3分科会「両性の自立と平等をめざす教育」は、三重から「実践力を育む男女共生教育をめざして」と男の子のトイレを学級全体で考えたとりくみが報告された。また、ワークショップでは、ロールプレイングゲームをしながらジェンダーについて考えた。
第4分科会「障害児の進路を保障する教育」は、群馬のことばの指導教室からの実践、滋賀から「いっしょに いこか!」とのリボート発表があり、それぞれ活発な交流をおこなった。
「人権のふるさとをめざして」と題したフィールドワークでは、講演をした平井豊さんの案内で、高崎の部落の歴史を学んだ。差別戒名がつけられた墓石や、橋脚の向きに隠された進水地域としての部落、農村地域にありながら小作農が大半だったため部落内に農地がまったくないことなど、その実態に驚くとともに、あらゆる差別を解消するために、いまこそ人権教育の充実が大切であることを実感した。
「一生青春・一生勉強」と
記念講演は、「部落に生(活)きる人たち―私の履歴書」と題して「人権教育賢等行動」たかさき研究会事務局長の平井豊さんと、「ハンセン病と人権―偏見・差別の解消について」と題して国立療養所栗生楽泉園(草津)自治会長の藤田三四郎さんがおこなった。
藤田さんは、長年国の隔離政策に苦しんだことや法が廃止されたいまもまだ故郷に安心して一時帰省もできない実態をのべ、最後に、「「一生青春・一生勉強」という言葉は、75年間、私とともに歩いてきた旗印。20歳の時にハンセン病を患い、それ以来、現在まで患者運動や文化活動を精力的に継続してきた。私の人生はいまでも青春のなかにあり、輝く希望と夢をもち続けていると自負している。みなさんも希望と夢を胸に抱いて旅立ってください。しかし希望とは裏腹に、たくさんの不安と多くの障害に突き当たる。そのときは、青春と若さで精一杯生きることによって、それらをのりこえ克服することができる。たゆまぬ努力で人生をいつも前向きに生きる、これが「一生青春二生勉強」ということ」と語った。
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