法務省の権限を格段に強めて外国籍住民をより厳しい管理体制下に置く3つの法案を3月、政府がつぎつぎと国会に提出した。「入管法改定案」「入管特例法改定案」と、新たな在留管理制度に連結させた「住基法改定案」だ。この問題点を広く知らせる院内集会「ここが問題! 入管法・入管特例法改定案&住基法改定案」の第4弾が5月13日午後、東京・衆議院第2議員会館でひらかれ、多くの市民やNGO、国会議員などが参加した。主催は、「在留カードに異議あり!」NGO実行委員会。
今回は、これらの改定案の危険性を、在日コリアンをはじめ特別永住者の視点に重点をあてて照らそうと「特別永住者にとってプラスになるか?」と掲げてひらかれた。
衆・参両院の国会議員の発言後、在日韓国人問題研究所の佐藤信行さんが、改定案の問題点の概要を提起。在日本大韓民国民団の朴相泓・生活局長、在日コリアン弁護士の李春煕さん、朝鮮総連中央本部権利福祉委員会の金珍英・部長、外国人人権法連絡会の田中宏・共同代表(一橋大学名誉教授)らも、それぞれの立場から意見を表明した。
佐藤さんの提起では、▽「外登証」が廃止され「在留カード」や「特別永住者証明書」になるが、すべての外国籍住民にその受領・常時携帯・提示を罰則つきで義務づけ―常時携帯義務抜本見直しの検討を求めた99年の衆・参両院の外登法改定の附帯決議の無視、国連・自由権規約委員会の3回の勧告の無視▽法務大臣の自由裁量の再入国許可制度を廃止せず、逆に改定案に「有効な旅券所持者」という文言が盛り込まれたために、外登証の国籍欄に「朝鮮」と表示されている特別永住者が事前に再入国許可をとって出国・再入国せざるをえなくなる、などの問題点の概要が示された。
いまなお在日コリアンが多様な形で基本的人権を否認・制限されている実態も再度示され、「このさい、在日コリアンの法的地位をきっちりと議論すべき」と、無条件の永住権、住民としての地位と権利、国際人権条約が定めるマイノリティの権利保障の必要性も提起。「歴史認識に裏付けられた多文化共生の観点から法改正を」「ほんらい日本に住むすべての人が平等にとりあつかわれるべき」「在留資格に関係なく、すべての外国人の管理強化につながる法案」「「最大多数の最大幸福」ではダメ。むしろ少数者の抑圧を最小にする社会をどう作るか。その視点で政策を」などの意見があいついだ。
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