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部落問題資料室
NEWS & 主張
主張

 

再生・改革に都府県連・支部段階で
具体的な実践を開始しよう
「解放新聞」(2009.06.22-2424)

 私たちの部落解放運動再生・改革運動のとりくみの本来的な主眼は、地域を基盤とした生活圏域での、「運動の停滞」「組織の減少」「財政の困窮」「人材の不足」という現実的な課題を克服していくための新たな運動と組織のあり方を真剣に追求するということにはかならない。「総点検・改革」から「再生・改革」へ、今年度は支部段階へのオルグ行動に重点を置こう。秋には集約のための全国会議をひらき、課題をあきら別こする。これをふまえて、さらに地域内外をつなぐ協働の運動スタイルを創り出していこう。そのための異体的なオルグ活動を完全実施していこう。

 今年3月にひらいた第66回全国大会の基調方針で、昨年度から打ち出している「総点検・改革」から「再生・改革」へと運動の軸足を移し、具体的な再生課題を把握して部落解放運動をとりまく厳しい状況を転換させていくための反転攻勢へのとりくみを強化する方向を確認しつつ、つぎのように「地域実践にもとづく「再生・改革」運動を内実化する課題」を決定した。
  第1は、「懸念事項」の解決を先送りしないとりくみの完遂であり、「①この3年間で4回実施した「総点検・改革」と「再生・改革」全国行動のとりくみで明らかになっていることは、「9つの懸念事項」にたいする問題解決へのとりくみを先送りしないことが引き続き重要な課題として存在しているということです。②とりわけ、「補助金の適正化問題」、「家賃・諸貸付金の返済問題」、「隣保館・集会所等の有効適正活用問題」などは、すでに提起している基本対応の方針にしたがって早急に解決しなければなりません。③これらの問題にみられる運動的弱点が、差別撤廃・人権確立に向けての本来の行政責任までを放棄する口実に使われている面を見逃してはなりません。部落問題解決への行政責任をないがしろにさせない闘いを再度構築し直すためにも、「9つの懸念事項」にたいするとりくみが急務です」。
  第2は、組織建設への前向きな実践課題を具体化することであり、「①現在の組織・運動が抱える問題点については、全国的に共通認識がほぼできあがってきたといえますが、組織建設本来の課題であった「運動の停滞」「組織の減少」「財政の困窮」「人材の不足」ということにたいする前向きの課題設定は、まだまだ不十分であるといわざるをえない状況です。そのようななかで、先進的なとりくみや注目すべきとりくみもはじまっています。②たとえば、少子化のもとで地域内外の子どもや保護者を結集して子ども会活動を活性化させているところ、周辺住民や団体とともにまちづくり委員会やNPO法人を立ち上げて福祉・教育課題などで協働の活動を広げているところ、隣保館を地域福祉やまちづくりの拠点施設として効果的運用をおこなっているところ、経費削減と質的強化をはかるために従来の大型集会を排し地域積み上げの集会開催により実質参加者の延べ人数が従来の集会規模を超えるとりくみをしているところ、担当者をおいて計画的な長期年次計画にもとづく機関紙・誌や書籍販売拡大などにより自主財源の確立をしているところなどです」。
  第3は、再生・改革運動を日常活動化しようということであり、「①これらのとりくみに共通していることは、自力自闘の姿勢を堅持しながら部落内外の共通の課題を協働の力で解決していこうとしていることです。②部落解放運動再生への立脚点を、「水平社宣言の自主解放の思想」、「部落委員会活動の世話役活動スタイル」、「3つの命題を継承発展させる解放理論」に求めてきた方向性を具体化しようとするものだといえます。③このようなとりくみ事例や再生への立脚点を確認しながら、各地域で「再生・改革」運動を日常活動として実践・定着化させていかなければなりません」。

 この全国大会の基調方針をうけて、全国委員長・書記長会議(5月18日)の議論などもふまえながら、中央執行委員会は、2009年度の再生・改革運動の基本的な実施方針を決定した。
  第1は、今年度の再生・改革運動は、支部段階にたいするオルグ行動に重点を置くということである。これまでの4巡におよぶ再生・改革運動は、中央本部から各都府県連段階にたいするオルグ行動が中心であった。この間、中央本部として各都府県連による支部段階にたいするオルグ行動を要請してきたが、率直にいって完全に実施できているのは10府県連足らずという状況であるといわざるをえない。したがって、今年度は、都府県連による支部段階にたいするオルグ行動の実施をやりきることが決定的に重要である。再生・改革の課題は、各地域に存在しているということを肝に銘じたとりくみが不可欠であり、そのことを抜きにして再生・改革の内実はないのである。
  第2は、今秋期に都府県連・支部段階での再生・改革運動を集約する全国会議をひらくことである。基本的には、6~8月期に都府県連による支部段階にたいするオルグ行動を実施し、必要に応じて都府県連オルグ行動に中央本部からも参加する体制をとり、9月、10月頃に各都府県連のとりくみ集約のための全国会議をひらくというとりくみ日程ですすめていく。
  第3に、支部段階にたいするオルグ行動未実施都府県運にたいしては、中央本部から強力なオルグ行動を実施することである。今秋期の全国会議での集約・総括をふまえて再生・改革運動の課題を全国に発信するとともに、オルグ行動未実施の都府県連にたいしては中央本部からもオルグを派遣する。この行動は、今年度の再生・改革運動をもって、来年度からは反転攻勢への新たな組織的・運動的課題を具体的に提起していくことを現実化するためにも、かならず完遂しなければならない。

 そのときに、一連の不祥事がなぜ起きたのかという猛省に立って、『部落解放運動への提言』を噛みしめ、第66回全国大会で決定した「部落解放同盟行動指針」の立場と基本姿勢を堅持しながら、各地域で仕事・福祉・教育の分野を中心として地域内外をつなぎ」とができる具体的な課題発掘と協働の運動スタイルを創り出すことが、部落解放運動の再生・改革を内実化させていくことになり、社会的信頼を回復させる最短の道になるのだという強い自覚と信念をもつことが重要である。
  同盟員1人ひとりが、「ひとり立つ」気概をもって、部落解放運動再生・改革運動の旗手であるという自負のもと、都府県連・支部段階での異体的なオルグ活動を完全実施していこう。


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