「解放新聞」(2009.07.13-2427)
反動的な日本的人種主義が
あいさつをした武者小路公秀・理事長は、「世の中が物騒になってきている。しかし、希望もでてきている。それがないまぜになっており、そこに世界的な経済危機があり、問題が深刻になってきている。国連の人種主義報告者のドゥドゥディエンさんは、日本の人種主義の状況について、部落差別、アイヌや沖縄の人びと在日の人びとへの差別やニューカマーの人びとへの差別の存在を指摘し、差別と闘うことの必要性をまとめた。しかし、反動的な日本的人種主義の動きも強くなってきている。緊張して物事を見ていく必要がある」とのべ、反差別国際運動日本委員会の活動の重要性を強調した。
議事では、活動報告や方針が論議された。08年度の重点とりくみ課題の活動報告では、日本委員会は、人種主義・人種差別・植民地主義を克服するために、国内のマイノリティ団体同士とそれ以外の人びととの相互理解と連携、課題への共通認識を促進させるために人種差別撤廃NGOネットワークを通じたとりくみを継続してきた。
具体的課題としてインドやスリランカなどでの被差別マイノリティの差別撤廃運動への連帯強化。職業と世系(門地)にもとづく差別撤廃のための国際人権基準づくりを国際的な場ですすめるとともに、搾取的移住・人身売買の撤廃のために、人身売買をグローバル化のなかで起きている「搾取的移住」ととらえ、IMADRの活動とも連携した活動を推進してきた。また、狭山事件の再審を求め、国内外にひろめるためのとりくみとして狭山国際キャンペーンを継続し、ウェブサイトを開設するなど国際的な支援を訴える活動をしてきたことが報告され、了承された。
差別生む構造や歴史とらえ
09年度の方針では、厳しい世界情勢をうけとめつつも同時に好機を確実にとらえることが必要だ。そして、広範な連帯にもとづくマイノリティ当事者の「現場」からの声を中心とした共同の問題提起・とりくみのねばり強い展開が求められている。日本委員会は、その実現のために、人種主義や人種差別的な動きや情勢にたいして明確な反対を貫く、としている。
そのために、国際的なメカニズムを有効に活用し、差別の結果だけでなく、差別を生み出す構造や歴史をとらえることが大切であり、マイノリティとそれ以外の人びとが国境をこえて結びつくことに尽力したい、と活動の方向性を明確にした。異体的な課題としては、これまでの6点にわたる重点とりくみを継承強化し、広範な人たちとの連携と立ち上がりを求める活動方針を確認した。
役員体制
理事長 武者小路公秀(大阪経済法科大学・アジア太平洋研究センター所長)
副理事長 阻坂繁之(部落解放同盟中央執行委員長)
専務理事 松岡徹(部落解放同盟中央書記長・参議院議員)
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