「解放新聞」(2009.07.13-2427)
東京でシンポジウム
集会では、「福岡事件を改めて考える」のシンポジウムがおこなわれ、主催者の古川龍樹さんやルポライターの鎌田慧さん、狭山事件の石川一雄さん、明治学院大学教授の宮本弘典さんが発言。福岡事件の真相を広め、再審開始へ10万人署名活動の協力を訴えた。
シンポジウムで鎌田さんは、多くの日本人はえん罪事件は自分に関係ないと思っている。足利事件では管家さんに髪の毛を引っ張るなどの拷問もあった。また、容疑者を孤立させ警察のストーリーにあわせて自白をさせるから無理がでてくる。古川泰龍さんの亡きあと、龍樹さんら家族の奮闘を美談に終わらせてはならない、再審への運動を広げようと訴えた。
えん罪事件では「やっていないのにやった」と自白する問題がある。石川さんは、ひと月やっていないと無実を訴えたが、兄を逮捕すると脅され、残された家族の生活不安を煽られて自白してしまった、と体験を話した。会場には石川さんが古川泰龍さんに出した手紙が展示され、文通していたことを披露した。
古川さんは、父から宗教者は金をもつなと教えられ、すべてをこの事件の再審につぎ込んできた。しかし家族だけの支援では限界だ。社会で支援する体制をつくってほしいと訴えた。
宮本さんは、人間は誤りを犯すものとの認識が必要だ。えん罪は起こるものとの前提が必要。そのためにえん罪を防ぐ手立てをつくる決意が求められている。外国では判決の出し方についてはこと細かに記述し法制化している。誤判の歴史は制度改革の歴史でもあるが、日本ではまったく顧みようとしないのが現実だ、とのべた。
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