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反戦・平和・核廃絶へ向け、各地でとりくみを強めよう
「解放新聞」(2009.07.27-2429)

 8月で戦後64周年をむかえるが、今日、戦争や被爆の体験や教訓が風化してきたといわれている。実際に戦争をさまざまなかたちで体験した世代は少数派になってきたが、戦争や被爆の悲惨な実相を次代に伝え、なぜ戦争を防止できなかったのかを明らかにし、その反省を多くの人びとが共有することによって、ふたたび戦争を繰り返さないことが大切だ。
  今日、平和憲法を空洞化させ、「戦争ができる国」づくりをすすめる動きも強まっている。教育の場では、沖縄戦での集団自決強要や南京大虐殺の歴史的事実を教科書から消すなど、戦争を美化し「愛国心」を強要する動きが強まっている。自衛隊のアフガニスタンやイラク戦争への加担、ソマリア沖の海賊対策を口実にした自衛艦の派遣をはじめ、集団的自衛権行使や海外派兵をすすめる動きも強まり、ミサイル防衛構想や有事立法などで日米軍事一体化も急速におこなわれ、憲法違反の既成事実が積み重ねられている。
  この状況のなかで被爆64周年をむかえるが、いまこそ「武力で平和はつくれない」ことを再確認し、この間の政策の転換を求めていく必要がある。そして、「戦争ができる国」ではなく、平和憲法を生かし、平和な国際社会づくりに積極的役割を果たす国づくりをめざさなければならない。

 今年1月に就任した米国のオバマ大統領は、ブッシュ政権からの明確な路線転換を示し、「核兵器のない平和な世界を追求」すると表明した。そして来年5月に国連で開催される核拡散防止条約(NPT)再検討会議での大幅な核軍縮の推進、包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准、核兵器用核分裂物質製造禁止(カットオフ)条約の容認など、核軍縮に向けた方針を打ち出した。また、4月5日のプラハでの演説で、ヒロシマ・ナガサキへの原爆投下に関して「唯一の核使用国としての道徳的責任」に言及し、これまでの米国大統領との違いを印象づけた。
  しかし、一方でオバマ大統領は、地球上に核兵器がある限り、抑止力として核兵器を保持するとしている。そして、前政権から引き継いだ東欧などへのミサイル防衛システム配備計画(MD)を推進しており、そのことがロシアの反発を生み核兵器開発競争に拍車をかける可能性もある。
  7月6日におこなわれた米ロ首脳会談では、MD計画の中止については合意されず継続協議となった。しかし、核弾道数や弾道ミサイル数の大幅削減など、核軍縮へ大きな期待をもたせる合意がなされた。これを契機に核軍縮の流れを確かなものにし、核拡散防止のNPT体制を再生させなければならない。

 日本政府の核政策をみると、非核3原則を国是とする一万、米国の核兵器によって守ってもらおうという「核の傘」依存の矛盾した政策をとっている。そして現在、ミサイル防衛(MD)システムの日米共同開発と日本配備をすすめている。これは米国の核戦略に日本を組み込むものであり、集団的自衛権の行使につながる憲法違反にあたる。また、北東アジアの緊張を高めるものである。
  朝鮮民主主義人民共和国が、今年5月25日に2006年10月に続く2回目の核実験をおこなった。これは断じて許されることではなく、核廃棄を強く求めるものである。だが、共和国の核実験やミサイル発射実験にたいし、一部政治家や評論家などが日本の核武装や「先制攻撃」容認論などを煽る危険な動きもある。これも徹底して批判しなければならない。北東アジアの非核化に向けて、対話と協調による平和的な粘り強いとりくみが必要である。
  私たちは、日本政府が核廃絶への姿勢を明確にし、ヒロシマ、ナガサキの被爆を経験した国の責務として、積極的に世界にたいし平和と核軍縮のリーダーシップをとることを求めなくてはならない。
  そのためにも、来年5月のNPT再検討会議に向け、核兵器廃絶への動きを確かな流れにしていくために、連合や原水禁などとともにとりくんでいる「核兵器廃絶1000万署名」達成をはじめ、国内外の世論を高めるとりくみを強化しよう。そして反戦・平和・核廃絶へ向け各地でとりくみを強めていこう。

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