「解放新聞」(2009.08.10-2431)
【埼玉支局】4本指を出し「これだ」と、昨年7月に羽生総合病院のリハビリ施設内でおきた差別事件にたいする糾弾会(第2回)を7月16日、行田市の地域交流センターでひらき、県連や行政職員ら60人が参加。行田市の工藤正司・市長が「市の重点課題として人権啓発に全力でとりくみたい」と決意を表明した。
施設内で差別発言が野放し状態
この事件は、施設に適所する高齢者の女性(行田市)が、部落の高齢者の女性(羽生市)の前で4本指を出して「(あの人は)これだ」と発言した事件で、今年2月に第1回糾弾会をもった。
この日、行田市の工藤市長は「04年にも市内病院で市民の差別事件が発生しており、今回の事件はきわめて遺憾であるとともに、厳しい事件として受け止めている」と見解をのべた。つづいて同市の柴崎一彦・人権推進課長が、啓発活動や学校人権同和教育の充実など8つの柱の具体的な対応策を説明し、老人クラブ連合会や自治会連合会のとりくみを報告した。
また羽生市の蓮見勝司・人権推進課長が、「まだまだ人権啓発活動が不十分であったと受け止めている」とのべ、羽生総合病院の職員をはじめ、市内10か所の施設でケアマネージャーとして活動している人を対象に研修会をひらいたと説明した。
両市の見解に参加者から「誰だれは部落という施設内での発言が、とがめる人がいないまま野放しにされてきた。発言をとがめたのは部落の女性だった。施設の職員へ指導はどうなっているのか」などの質問が続いた。羽生市の蓮見人権課長は、「どの施設でも新しく入居した人に最初に聞くのは「あんたはどこからきたの」という言葉で、年寄りのコミュニケーションのようになっている。施設の職員の認識を高め、入所者の理解を得るようにとりくみたい」と答えた。
県連は、学校同和教育の位置づけや公共施設の職員研修を要請した。
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