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部落解放研究第43回全国集会を10月24日から3日間、広島県福山市で開催する。本全国集会は、日本政治の大きな分水嶺ともいえる鳩山民主党政権誕生のもとではじめてひらかれる、きわめて重要な集会である。小泉政権以来、安倍、福田、麻生内閣とめまぐるしく政権が交代し、格差拡大社会はいっそう深刻になった。鳩山政権のもと、格差拡大をくい止める政策がマニフェストにもとづいて確実に実行されていくよう見守る必要がある。格差拡大社会は差別拡大社会でもある。格差是正社会にできるかどうかは部落解放運動にも大きな影響を与える。
また民主党マニフェストに明記されている「人権侵害救済法」制定が一刻も早く実現できるよう支援することも重要な課題である。
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一方、世界同時不況とともに日本経済も未曾有の経済不況に突入し非正規雇用をはじめとする人びとがつぎつぎと失業する事態になっている。そのなかでもフリーターとよばれる人びとの平均年収は2005年時点で167万円である。これらのフリーターの最終学歴は、中卒・高卒が約70%(男性71.3%、女性65%)で、大卒が約10%(男性12.5%、女性8%)となっており、学歴が雇用条件と密接に関係している。
また雇用条件は経済状態に結びつき、経済は生活につながり、生活はその人たちの文化的背景や学力とも結びついている。さらに学力は学歴につながり、負の循環が連綿と続いているのである。
とりわけ教育実態の悪化は、差別の再生産に端的に結びついている。本来、教育は差別の世代間移転を抑制し是正するものであり、その役割を担うものでなければならなかった。にもかかわらず、差別を固定化する役割を格差拡大社会のなかで担わされている。まさに学力や学歴、文化をとおして差別が再生産される構図が強化されている。
こうした状況は被差別部落にも大きな悪影響をもたらした。社会的矛盾が集中的にあらわれるといわれてきた被差別部落に未曾有の不況が大きな牙をむいている。労働は人間的尊厳の基盤であり、誇りと密接に結びついている。失業は人間的尊厳と誇りを基盤から堀り崩すことにつながり、意識に悪影響を与える。
格差拡大社会の悪影響を大きく受けた被差別部落の雇用、生活、教育実能覆どが、さらに悪化しているなかで、差別実態の是正・改善は部落解放運動にとって最重要課題になっている。
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このような情勢のもと、重大な土地差別調査事件が発覚している。
私たちの人生で重大な節目は、就職、結婚、居住場所の選択である。これら重大な節目に部落差別は厳然と存在してきた。就職差別、結婚差別、現在、とりくみが進行している土地差別である。
マンションなどの建設予定地周辺の立地条件を調査する「マーケティング・リサーチ会社」、不動産の新聞折り込み広告などをつくる「広告代理店」、実際にマンションを建設する「ディベロッパー(開発業者)」などが関与していた。そうした業界のなかで、明確な部落差別をふくむ内容が記された土地調査報告書が日常的に使用されていた。
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今日、教育・地域・階層は密接につながっている。部落差別は土地・地域にかかわる差別であり、教育と階層にも強い相関がある。差別意識が経済に端的に現れるのが土地価格であり、人が住みたくないところは経済的価値が下がり、人が住みたいところは上がる。
そして価格の低いところは低所得者が流入し、経済的に浮上した層はそこから流出していく。これが被差別部落をいつまでも低位な状態においている悪循環であり、今日の実態なのである。このようなシステムや悪循環を助長しているのが土地差別調査事件である。これらのシステムや悪循環を断ち切る差別撤廃システムが求められている。
本研究集会は、以上のような情勢下で開催される。山積する運動的課題、理論的課題の前進のため、地域での実践を生かした参加者の活発な実践報告と論議を期待したい。
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