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部落問題資料室
NEWS & 主張
主張

 

マイノリティ女性の
連帯・強化をはかっていこう
「解放新聞」(2009.10.19-2440)

 2003年に国連女性差別撤廃委員会から、日本政府が提出した報告書に関して、マイノリティ女性の状況について分類ごとの内訳を示すデータなどについての情報を盛り込むように勧告がだされた。
  この勧告を受けて、アイヌ女性、在日コリアン女性、部落女性の3者で、日本政府にマイノリティ女性に関する実態調査の実施と政策立案を迫るため、自分たちの手で調査を実施し、お互いの被差別体験や闘いの経験などを交流しあい、理解を深めることができた。
  こうしたとりくみをふまえ、つながりの輪をさらに広げていくためにも、そして、マイノリティ女性だけではなく、すべての女性たちとの連携の輪を広げていくためにも、マイノリティ女性フォーラムを開催することになり、今年で2回目を迎えた。
  一昨年は、札幌でアイヌ女性が中心になり、第1回マイノリティ女性フォーラムをひらいた。今年は、在日コリアン女性、部落女性が中心になり、10月17、18日、大阪で、経験交流、食文化や春駒、サムルノリ(農楽をもとにした韓国の現代音楽)などの伝承文化交流、生野、向野などのフィールドワークをおこなった。

 今年7月、ニューヨークで、2003年以降、6年ぶりに、「女性差別撤廃条約」の実施状況の審査報告がおこなわれた。
  この審査報告会にマイノリティ女性をはじめ、女性差別にとりくむNGOメンバーが参加し、女性差別の現状を女性差別撤廃委員に訴えてきた。8月7日、国連女性差別撤廃委員会から、日本政府にたいして2003年の勧告に続き、政府のとりくみは「不十分である」と60項目以上におよぶ総括所見(勧告)がだされた。
  そのなかで、私たちマイノリティ女性に関する勧告は、2003年にだされた勧告よりも異体的な内容で、とくに当事者女性の代表の意思決定機関への任命を求めるなど、部落女性をはじめ複合差別を受けている女性たちの差別撤廃への道筋となる力強い勧告であった。

 3団体のアンケート調査結果報告書をもとに、2007年、2008年と関係省庁との交渉をおこない、マイノリティ女性の実態を訴え、実態調査の実現などに向けてのとりくみをおこなっている。政権交代という大きな政治状況の変化のもとで、今後とも粘り強いとりくみをつづけていかなければならない。
  日本の女性への差別をなくすとりくみは遅れている。近年、男性と同じように働き、結婚後も子育てと両立させながら働く女性が増えてきたが、子どもが3歳になるまでの間、母親が家庭で子育てをしたはうがいいといわれる「3歳児神話」や、「男性は仕事、女性は家庭」という性別役割分担の考え方をはじめ、性にたいしての差別意識がいまだに根強く残っている。
  部落解放運動でも男女平等のとりくみは重要な課題となっている。中央本部では、「男女平等社会実現基本方針」(改訂版・2008年)を作成しており、女性も男性も、ともに学習し、中央本部・都府県連・支部で異体的なとりくみをすすめていくことが求められている。
  格差拡大社会のなかで、人と人が互いを思いやり、助け合い、支え合える社会の実現をめざすためにも、今回のマイノリティ女性フォーラムで、さまざまな活動をすすめている女性たちとの交流を深め、共通の課題やとりくみの方向を模索した。さらに、差別のない男女平等社会への実現をめざした想いを共有し、協働・連帯したとりくみをすすめよう。

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