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部落問題資料室
NEWS & 主張
調査会社による土地差別事件 第1回
土地差別調書の実像浮かびあがる
直接表現避け広告代理店と「あうんの呼吸」で

「解放新聞」(2009.10.26-2441)

土地・教育・所得の3点セット構造が
  調査会社による土地差別事件の第1回確認会を、10月16日午後、大阪人権センターでおこなった。この日は、調査会社4社(うち2社は個人経営)から「率直に、どんな調査行為をおこなってきたのか。差別を許さないシステムをお互いにどう作るのかという観点」(大野糾弾闘争本部長)から話を聞いた。確認会には部落解放同盟から大野副委員長(糾弾闘争本部長)、岸田副委員長、吉田財務委員長、和田中執(糾弾闘争本部事務局長)、赤井、北口、辻本、橋本、田川の各中執をはじめ、当該の大阪、滋賀、愛知、三重、東京、岡山、奈良、兵庫、京都の都府県連の代表40人が参加した。
  確認会のなかでは、①広告代理店から依頼された土地の調査を現地におもむきヒアリング(聞き合わせ)などの手法を用いて調べ、「同和地区」との直接的表現を避けながら、「イメージが落ちる」「地域性に課題がある」「不人気地域」「地域下位地域」「学校区不人気」などの表現で、そこが被差別部落であることを「代理店とあうんの呼吸」「いわずもがな」の関係で、分かるように調査書に記載してきたこと②こうした報告書にたいして依頼者側から苦情は出なかったこと③ここ10年ほどは校区の問題が調査課題としておしあげられてきたこと、などが4社が質問に答えるかたちで語られた。
  確認会をつうじて、この10年の問の格差社会の拡大・固定化のなかで、土地・教育・所得階層の3点セット構造が形成され、富裕で高学歴層が住む地域と、逆にその対極として貧困で低学歴層が住む地域が固定化され、そういった情報(部落周辺をさけ、「いい学区」のあるところに住みたい)をマンションの購入者が求めており、購入者の差別意識のうえにたって土地差別調査が続けられている現状。土地を開発するディベロッパー、調査を依頼・宣伝する広告代理店、土地を調査する会社が、こうした現状を知りながら、調べ、報告し、マンション販売価格に反映し、差別・格差社会の現実を拡大してきている現状の一端が浮かびあがった。
  第1回確認会の最後に和田中執が、個人調査会社1社が事実確認会への出席を拒んでいることもあり、まだまだ解明されていない事実関係がある、調査を依頼した広告代理店で名前の公表を拒否する代理店への働きかけをおこない、名前の公表へもひきっづき努力を重ねてほしい、と要請した。

不動産業者へのヒアリングで
  土地への調査では、地元へ直接おもむく、あるいは代理人がおもむく、というかたちで、地元の不動産業者などにヒアリングを重ねること。このなかで周辺に被差別部落があるかないかを地域のことに詳しい不動産業者が、ある人は積極的に、ある人は間接的に教えること。被差別部落以外に忌避される項目として、墓地、工場、ゴミ焼却場、公営住宅など、臭い・音・煙があること。報告された調査書は、そのまま広告代理店に提出される、などが明らかになった。
  学力の世代間連鎖と所得の相関性、格差の構造が明らかになるなかで、公立小中学校の評価をいれてほしい、という依頼が増えたこと。これにたいしては、ヒアリングや周辺の塾の多さ、などと各種統計(住宅土地統計調査、高額所得者)などをメッシュ状に組み合わせ地図上にあらわすと、傾向がつかめ、「学校区不人気」などのかたちで報告してきたこと。東京では、「邸宅街」「コリアンタウン」などの記載があったことも明らかになった。


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