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部落問題資料室
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11月11日の中央集会を再起点にして、
「人権侵害救済法」制定闘争を本格化しよう
「解放新聞」(2009.11.09-2443)

 10月26日に臨時国会が開会した。鳩山新政権にとって初めての国会である。鳩山総理は、はじめての所信表明演説を53分という異例の長さで力説し、「現在、鳩山内閣がとりくんでいることは、いわば、「無血の平成維新」です。今日の維新は、官僚依存から、国民への大政奉還であり、中央集権から地域・現場主義へ、島国からひらかれた海洋国家への国のかたちの変革の試みです」と締めくくった。
  そのなかで、「政治には弱い立場の人びと、少数の人びとの視点が尊重されなければならない」と強調し、それが政治の原点であることを明確に示した。私たちは、この政治姿勢を支持する。
  私たちは、あらゆる政策立案の根底に「反差別・人権の視点」を貫くことを強く求めるものであり、「人権の核心は人間の尊厳と生存権」であることを、しっかりとふまえる必要があることを改めて強調しておきたい。
  同時に、鳩山政権が、本格的に日本の「人権の法制度」を総合的・体系的に確立していく作業に着手していくことを期待しており、そのことが「政治が変わった」ことの真の試金石になると考えている。

 その重要な第1歩が、国内人権機関の創設を中心とする「人権侵害救済法」の早期制定を実現することである。
  02年3月に小泉内閣によって、閣法として「人権擁護法案」が国会提案されたが、その当時でさえ法務省集約の人権侵害件数は年間1万3千件もあり、「法」制定は焦眉の急を要するとされていた。
  その後、みずからの新自由主義路線にもとづく政策の誤りによって、格差拡大社会のもとで社会不安が増大し、その結果として、ここ数年来の差別・人権侵害件数も2万2~3000件に拡大してきている。
  部落差別事件についても、業界・個人による土地差別調査事件や、行政書士・司法書士などによる差別身元調査につながる大量戸籍謄抄本不正取得事件、インターネット差別書きこみ事件などに見られるように、「顔が見えない陰湿で巧妙な差別事件」が急増している現実がある。
  これらの立法事実(差別・人権侵害実態)を、しっかりと確認しながら、1日も早い「人権侵害救済法」の制定を求めていかなければならない。

 私たちは、いよいよ鳩山新政権のもとで「人権侵害救済法」の早期制定を求めて、本格的なとりくみを再び開始する。その起点が、11月11日午後1時から憲政記念館でひらく中央集会である。会場確保の関係で規模は縮小されたが、長年にわたる闘いに充実した決着をつけるという熱い思いを、全国各地・各界から結集して、来年の通常国会で「法」制定を実現していく第1弾のとりくみとして、重要な集会である。
  この集会で、現状認識と今後のとりくみ方針を共有し、鳩山総理や千葉法務大臣などをはじめとする関係大臣や国会議員に、「法」制定への強力な要請行動を展開し、全国からの熱心な思いを形にした90万筆近くにおよぶ請願署名を政府に提出することにしている。
  地域・現場からの切実な声と「法」制定への広範なとりくみを中央集会に結集して、鳩山新政権の政府・与党に、「人権侵害救済法」の早期制定を求める本格的な闘いを再起動させ、来年の通常国会での制定実現をはかる盤石のとりくみをすすめていこう。

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