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部落問題資料室
NEWS & 主張
矢田教育差別事件の背景にあった越境問題
解放運動、解放教育、労働運動の新たな出発へ
40周年記念集会

「解放新聞」(2009.12.28-2450)

 【大阪】「仕事においまくられて勤務時間外の仕事を押しつけられていませんか。進学のことや同和のことなどで、どうしても遅くなること、教育こんだん会などで遅くなることはあきらめなければならないのでしょうか」。こんな文書が、1969年3月、大阪市教組東南支部役員選挙での立候補あいさつ文として配布された。いわゆる「木下あいさつ状」であり、矢田教育差別事件糾弾闘争が始まり、全国の解放教育運動の発展、部落解放運動に大きな影響を与えた。日共の告訴によって弾圧がおこなわれたが、その裁判闘争では「糾弾権」を認定させた(2427号「東西南北」)。いままた学力格差、教育格差が拡大する格差社会となり「越境通学」が横行するなかで、解放運動、解放教育、労働運動の新たな出発をめざして、「矢田教育差別事件40周年記念集会」が11月25日夜、大阪市内の矢田人権文化センターでひらかれ、300人が参加。闘いの意義と歴史をふり返り、再確認し、新しい社会創造へふみだす想いを共有した。

記念講演とシンポジウム
 主催は、大阪市教組南部支部、矢田教育共闘会議、部落解放同盟矢田支部で、東南フォーラムが協賛。
記念講演した中野陸夫・大阪教育大学名誉教授は、当時、市教組東南支部書記長で、事件の背景に、差別越境問題と、その解消のとりくみがあったことを指摘。矢田小では941人、30.3%、矢田中では418人、36.7%が越境して他校へ通学していた。
当時は学校の設備など教育環境を改善するためには親の寄付などが必要で、貧困家庭の多い学校では、劣悪な教育条件が放置されていた。越境生を地元の学校に戻し、解放教育を推進していくためにも教育条件の改善が必要であり、30人学級実現や加配教員獲得のとりくみを矢田教育共闘会議や組合がすすめているなかで事件がひきおこされたことをふり返った。
集会では、戸田寛・矢田支部長をコーディネーターに、当時の教組、教員、生徒の立場からシンポジウムもおこなった。
大阪府連からは赤井隆史・書記長があいさつし、労働運動との新しい接点をつくった大きなうねりで、全国に大きな影響を与えたもの。つぎの40年をめざし、新しい未来を切り拓こう、とよぴかけた。


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