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部落問題資料室
NEWS & 主張
可視化求め日弁連が集会
えん罪被害者から話を聞く

「解放新聞」(2010.02.08-2456)

 あいついでえん罪事件が発覚し、捜査過程の可視化を求める声が大きくなっており、自民党政権下ではすでに2回の可視化法案が参議院で可決されている。世論は可視化を求めている。
  1月27日午後6時から、日本弁護士連合会主催による「足利事件の録音テープから分かる取調べの実態――今こそ取調べの可視化の実現を」と題する集会がおこなわれた。日弁連は、国民の声を集めて、いまこそ全面可視化を実現しよう、と決意を表明した。
  集会はサテライト会場をふくめて530人が参加。足利事件、布川事件、志布志事件、氷見事件の犯人とされた被害者と弁護人が取lり調べの全面可視化の実現を訴えた。与野党の国会議員も参加し、取り調べ過程の可視化を実現する法制定のためにがんばると決意を表明した。
  足利事件で録音されていた警察と検察の取り調べ過程の一部を記録した録音テープが、1月22日、宇都宮地裁でおこなわれた再審公判で再生された。このことの意義を佐藤博史・弁護人は「なぜ録音したかについては、警察・検察みずからその必要性を認めたからにほかならない」とのべ、可視化への「反対の理由はなくなった」とのべた。また、テープ録音の内容を分析した浜田寿美男・奈良女子大教授は、「おだやかな取り調べで、なおかつ虚偽自白をしてしまうところにえん罪の怖さがある。彼ら(警察・検察)はえん罪を生んでいることにあまりにも無自覚である」とのべ、「犯人でないなら自白などしないと思っている人にもぜひ聞いてほしい。えん罪の恐怖を分かってもらえるチャンスだ」とのべた。
  管家利和さんは当時の「自白」へと追い詰められる、検察とのやりとりが公判廷で流されたことにたいして「自分の声を聞くのは辛い。気分が悪くなって、一時退廷した」「元検事に謝罪を求めたが謝罪しなかった。許せない。彼らこそ、非人間的だ」とのべた。
  また、再審が決定した布川事件の櫻井昌司さん、杉山卓夫さんも警察による誘導で調書をつくられた経緯をのべ、一部可視化では私たちは有罪にされた。全面可視化があればそのようなことはないとのべ、この事件の井浦謙二・弁護人は、可視化されていれば、捜査過程が再現できる。あわせて証拠の全面開示が必要だと訴えた。
  志布志事件で事件そのものをねつ造された川畑幸夫さんと藤山忠さんは、「密室での取り調べと「叩き」をなくすべきだ。捜査過程の全面可視化があれば裁判がこんなに長びくこともなかった、裁判員制度の前につくられるべき制度だ」とのべ、氷見事件の柳原浩さんは、「警察車両で、私の知らない被害者の家の前に連れて行かれた。その家1軒しかないのに、どの家か指をさせ、といわれた。捜査車両にも録音録画の可視化は必要だ」とのべた。

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