東京高検は高裁の勧告に応じてすみやかに証拠開示を実現せよ
1
2009年12月16日の第2回3者協議で、東京高裁・門野博裁判長は東京高検の検察官にたいして、証拠開示の勧告をおこなった。2
今回、開示勧告が出されたのは、殺害現場の血痕検査にかかわる捜査書類や事件当日、殺害現場に隣接する畑で農作業をおこなっていたOさんに関する捜査書類、石川さんの当時の筆跡に関する資料、石川さんの取り調べ状況の資料(取調べメモ等)など8点である。3
開示勧告が出された8つの証拠のうち4項目は、殺害現場にかかわるものである。殺害現場が自宅近くの雑木林であるという、石川さんの自白は6月23日に始まるが、警察による殺害現場の実況見分調書は7月4日付け、同月8日付けのものしか明らかにされていない。新聞報道では、「(6月)27日朝から自供にもとづいて殺害現場、死体発見現場を中心とした実地検証をおこなった」などと報じられており、警察が、事件の核心ともいうべき殺害現場について、これ以外に何ら裏付けをとらなかったとは考えられない。また、7月4日の実況見分調書には、自白で死体を一時隠したという芋穴について、ルミノール反応検査をおこなったと書かれている。被害者の死体の後頭部には傷があり出血があったと考えられたのであるから、現場の血痕を調べるのは当然であろう。第2現場ともいうべき芋穴について血痕検査をおこないながら、第1現場である殺害現場に関してルミノール反応検査報告書などの捜査書類がないことは考えられない。今回、裁判所は殺害現場の血痕検査に関わる捜査書類の開示を勧告するとともに、これらの証拠が存在しないとするなら、納得のいく説明を求めた。検察官はすみやかに回答すべきである。4
2007年の志布志事件、氷見事件の無罪判決につづき、昨年は、足利事件で犯人とされ17年半も獄中生活を余儀なくされた管家利和さんの無実が明らかになり、再審が開始された。足利事件では、弁護団の求めたDNA鑑定のやり直しを東京高裁が決めたことで、真実が明らかになった。また、再審開始決定後、当時の管家さんにたいする取り調べを録音したテープが存在することが明らかにされ、証拠開示された。管家さんを虚偽の自白に誘導、追い込んでいく検察官の取り調べが再審公判で再生された。こうした重要な取り調べ録音テープを17年以上も隠していた検察官の責任も重い。「解放新聞」購読の申し込み先
解放新聞社 大阪市港区波除4丁目1-37 TEL 06-6581-8516/FAX 06-6581-8517
定 価:1部 8頁 115円/特別号(年1回 12頁 180円)
年ぎめ:1部(月3回発行)4320円(含特別号/送料別)
送 料: 年 1554円(1部購読の場合)