総務省交渉を2月10日省内会議室でおこなった。西島書記次長、辻本中執はじめ、各都府県連から代表20人が参加、省から自治行政局、自治財政局の担当が出席した。交渉では、①自治体の職員採用での大量の「統一応募用紙」違反に、国や自治体、外郭団体などの公正採用選考の周知徹底を要請し、省の見解を求めた。②全国で行政書士などの有資格者が委任状を偽造して戸籍などを不正取得している事件の多発についての見解と対処を求めた。
このほか、③一部自治体での「登録型本人通知制度」の実施をモデルケースとして不正請求防止にとりくむ市町村区に、システム改修費などに積極的な財政的支援を求めた。
④国から配分される「地域改善対策関係分の特別交付税」について、経過措置後も人権教育・経営指導や隣保館運営をはじめ部落問題の解決に向けて継続した措置ができるよう検討を求めたほか、⑤政府内で論議されている「一括交付金」についての考え方をただした。また、⑥自治体のなかには、「職員の身元調査」を職務として明記しているところもあり、省としての対応を求めた。
とくに①については、一昨年、連合が調査し、身元調査をしている自治体があることが判明。とくに、東北・北海道に多い、と指摘。自治体は、民間にたいして指導する立場から見解を求めた。
省は、部落解放中央共闘と話し合いをした。継続的にとりくんでいく。公務員の採用については、その職務を遂行する能力があるか否かを問い、判定するもの。それと関係のない戸籍謄本の提出を求めることは遺憾だ、今後も、各種会議、さまざまな機会を通じて徹底をはかりたい。くり返し適切な対応を求めていきたい、とのべた。
また、同盟からは、末端では趣旨の徹底がなかなかはかれないので、市町村の担当課長が公正採用選考推進員に登録して、ハローワークとの連携を図ってもらうように独自のとりくみでおこなったと紹介、公正採用、就職差別撤廃への趣旨の徹底のための場を市長会、町村長会まで広げるべきだ、と課題を提起した。
②③では、省は、不正取得は遺憾。これまで住民基本台帳法の一部を改正し、住民票の交付に制限をした。第三者には本人確認などの厳格な運用を求め、不正取得には罰則を科し、昨年度から実施してきた。市町村とは意見交換をしながら運用をすすめていきたい。また、一部自治体でおこなっている個人通告制度は、各自治体の条例でおこなわれているもの。2007年におこなわれた国の法制審議会の戸籍部会での論議は、賛否両論で個人通告制度は時期尚早として見送られた経緯がある。いま、全国に実施を求める時ではないが、今後の課題だ、とのべた。
同盟からは、不正を見つけるにはシステムをつくるしかないと指摘。埼玉からは、今年6月1日をもって全市町村が本人通知を実施する。自治体の対応のばらつきをなくすことが必要であり、国の強い姿勢が問われている、と早急な対応を求めた。
危倶する現場
「一括交付金」制度に
④⑤については、特別措置法の期限切れ後、一般対策を工夫して部落問題の解決に資するとりくみがされてきたが、地方財政が厳しく、施設や職員の統廃合や削減などスリム化がおこなわれている。隣保館も一部自治体では用途変更や廃止がすすんでいるところもある。国で論議されている「一括交付金」制度になれば自治体の裁量が増える分、マイノリティ施策に反映しなくなることが想定される。これまで隣保館の運営補助事業ということで、個別事業があったが「一括」配分されることによって、現場には「地対協意見具申」との整合性がなくなるという危惧がある。そうならないための研究と工夫を求めた。
省は、継続してきた措置については、要請をふまえて検討する。また、市町村の認識がうすい、あるいはないという指摘については、「特別交付税については規定がある。市町村での算定の透明性が確保される方法を政府内で相談したい」とのべるにとどまり、ひきつづいた検討を要請した。
⑥については「職員身元調査」を職務として義務づける法的根拠はない。実態も含めて今後の検討課題にすると回答した。
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