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部落問題資料室
NEWS & 主張
家族状況や心身障害も
福井県が「結婚相談申込書」に
県内統一様式で使用され

「解放新聞」(2010.04.26-2467)

08年県民意識調査でも結婚で部落忌避60%強
早急な改訂求め県と協議
 【福井】「身長、体重、血液型、学歴、現在の勤務先名(職業を具体的に、就業開始年、勤務先住所・平均月収)、家族の状況(続柄・名前・生年月日、未婚既婚、同居別居・在住所)結婚の状況(初婚・再婚(離別・死別)、子供(無・有〔男 人・女 人〕)、同居、別居、身体の弱い方、また心身に障害のある方は、具体的にお書きください」
 これは、現在福井県で県内統一様式として使用されている「結婚相談申込書」で、福井県は「結婚相談という特性上、本人の職業、家族の状況、同居・別居の区分などの記載欄を設けている」と回答している。
 全社協と厚生省が示しているのは、①名前②生年月日③現住所④本人の職業⑤趣味⑥自己PRの6項目。
 部落解放同盟は昨年8月26日の福井県交渉(2435号)で問題点を指摘し、改定するよう求めた。
 しかし福井県は、年内、年度内とずるずる回答をひさのばし、3月28日、福井県連に、新しい様式の「申込書」が送られてきた。
 新様式で、現行様式から削除変更されているのは、体重、血液型、就業開始年、職業欄の「具体的に」の表記、勤務先住所、家族の名前・生年月日・現住所、相談員記入欄のみで、ほかは残されたままだった。
 このため、結婚相談事業問題に限定して、福井県との協議を4月12日午後、福井県嶺南振興局敦賀土木事務所でおこない、重ねて問題点を指摘。2008年に県がおこなったアンケート調査でも60.5%が部落出身者との結婚を忌避していることも示し、県作成の「結婚相談申込書」こそ、こうした県民意識のあらわれであり、差別に加担するものであることを強調し、議論をふまえ早急な再検討をおこない改定することを求めた。

「切実なニーズがある」と
結婚相談申込登録で
福井県と協議

 福井県との協議に、中央本部から西島書記次長が参加、福井県連からは浜岸政幸・委員長はじめ4人、滋賀県連から2人、北陸事務所が、福井県からは、喜多冶・県嶺南振興局次長ら8人がそれぞれ出席した。
 「結婚相談申込書」の差別につながる項目を多く残した理由について県は、「結婚で困っている県民が多く、ギリギリどのへんまでと議論し、結婚に役立つものにと考えて検討」「現場の声も聞いて」「なんとか早く結婚したい人が多い。たくさんのなかから、どう選べばいいのかわからないし、本人の好みがある。項目があると1つの目安になり、会うための情報の1つ」「切実なニーズがある」などと回答。県内12の窓口で200人の相談員がマッチングをおこなっているかのようなことを何の疑問もなく報告した。
 全社協が示している6項目とのギャップについての説明では、「あくまでも参考例。福井県では相談者から聞きたいというニーズがある」と、おく面もなく答えた。
 このため、ニーズがあればどんな情報を収集してもいいわけでないことを指摘し、差別につながる情報を収集し結婚相談事業に利用することの問題点などを重ねて示し、採用選考では本人以外の背景の収集を排除していることも例示、結婚相談事業でも差別は許されないことを訴え、早急に再検討するよう求めた。

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