「解放新聞」(2010.06.07-2472)
中川治議員が衆院国交委で
けしからぬという一言につきる。さらに徹底…前原国交相
中川議員は、リサーチ会社→広告代理店→ディベロッパー(開発業者)へと流されていた報告書の写しを示しながら、同和地域を問題のある地域、敬遠されるエリアであるとか、在日韓国・朝鮮人の多い地域を半島系住民が多い、などと書かれた報告がマンション開発などにあたっておこなわれていた事実を指摘。とくに調査を依頼している大手不動産の開発業者のほとんどが国土交通大臣の許認可業者であり、差別的調査のあり方、実態について前原大臣の見解をただした。
前原大臣は、けしからぬという一言につきると私は思っております。ご指摘の不適切な表現がふくまれる報告書が作成され、一部のマンションディベロッパーが受領していた事実が判明したことは、省として承知している。これまでも宅地建物取引業者の社会的責務に関する意識の向上をめざし、講習を通じ、たとえば同和地区に関する問いあわせ、差別意識を助長するような広告、賃貸住宅の媒介業務にかかる不当な入居差別などが発生しないように指導している。しかし、いぜんとして、このような報告書が、問題意識もなく、漫然とおこなわれているということは、まことに遺憾であり、差別的な報告などがだされないよう、さらに徹底をしていきたい、と表明した。
中川議員は、大手の不動産開発業者が、販売促進や開発事業を手がけるうえで広告代理店、リサーチ会社に調査を委託し、その調査にもとづいて行動をおこすというシステムが存在することを指摘。現在、明らかになっているところで、13社のディベロッパー、15社の広告代理店、5社のリサーチ会社が関与していることが明らかになっており、まず、実態の把握を急ぐ必要があることを強調し、専門チームなどをつくり、対応するよう求めた。
さらに、これらの調査活動は、不動産の売買にかかわる以前の活動であり、宅地建物取引業法、不動産業法以前の活動で、これらの業法では規制がしにくく、明らかな差別を商う行為について、政府全体で規制や処罰のあり方を検討すべきと提起した。
前原大臣は、宅地建物取引業者の社会的責務の意識の向上に関する実態調査として、たとえば、取引きの場で同和地区にかかる問いあわせの実態などの把握をしていることを明らかにしたうえで、取引き相手から同和地区の存在について質問をうけた場合、回答しなければ宅建業法47条に抵触するかとの問いあわせがあることも報告。答えは「抵触しない」であり、そんなことには答えなくていい、というのが宅建法の47条であることを、あらためて明確に答弁した。
さらに、宅地建物取引きの前段階での差別を商う行為にたいする規制については、「これは人権の問題でありますので、国交省だけではなくて、政府全体でとりくんでいかなくてはいけない問題」として、省も率先して、人権意識の高揚、差別の撤廃へ努力することを表明した。
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