日本の被差別当事者から直接話を聞く
ナビ・ピレイ国連人権高等弁務官がこのほど来日し、5月14日午前、東京ウィメンズプラザで差別や人権侵害と闘う人びとと面談し、その実能だついて聞き取りをおこなった。これは反差別国際運動が主催したもので、予定時間を延長して日本のマイノリティが直面する生の声を伝えた。
面談には、被差別部落から組坂委員長と石川一雄、早智子さんが同席し発言した。また、アイヌ、沖縄、在日コリアン、移住労働者問題についても当事者から聞いた。
石川一雄さんは「被差別部落に生まれ犯人にされた。昨日証拠の一部開示があった。やっと光が差してきたという思いだ。現在71歳。無実を晴らすためにこれからも多くの人たちの支援のもと、不退転の決意で闘っていきたい」とのべた。早智子さんは、「夫は無実です。公正公平な裁判がおこなわれるよう、これからも支援していただきたい」と訴えた。
これにたいしてナビ・ピレイ国連人権高等弁務官は、「石川さんにたいして私がいえるのは、正義が訪れる日を待ち望んでいるということです。私自身も裁判官でしたので非常に衝撃を受けている。私も法務大臣にたいして司法改革を、日本政府にたいして死刑執行にたいするモラトリアムをもうけるように進言した。石川さんは、当初から死刑判決が出されていた時から無実を主張してきたということですから、今回の話は真撃に受け止めています」と今後も狭山事件のゆくえに関心をもちつづけていくことを表明した。
ナビ・ピレイ国連人権高等弁務官は最後のあいさつで、「国連高等弁務官事務所にとって、差別撤廃は今後2年間の活動計画のなかでも最優先すべき課題の1つ。皆さんの声を直接聞くことができて非常によかった。今後も日本政府と連絡をとりながら国内での差別撤廃につながるよう努力していきます」と結んだ。
面談には、先住民族問題として関東ウタリ会から日本政府によるアイヌ政策と一般社会の理解の欠如の問題。沖縄から沖縄市民情報センターが琉球・沖縄の固有性と米軍基地の問題を提起。在日コリアンからは、渡来人協会と朝鮮学校生徒が発言し、在日コリアンの高齢者と障害者の無年金問題、高校無償化での朝鮮学校除外問題について提起した。このほか移住労働者を全統一労働組合が発言し、搾取的研修生制度の廃止を訴えた。
帰国後、ピレイ国連人権高等弁務官は人権理事会第14会期で、「日本の人権状況を改善させるという首相の決意、人権諸条約の選択議定書の批准と国内人権機関の設置についての決意を心強く感じた。こうした仕組みは、マイノリティや不利な立場におかれている人びとへの差別に対処するときの力になるものと確信している」とのべた。
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