「解放新聞」(2010.06.14-2473)
声をあげていくこと
福島で支援強化確認
【福島】郡山市で5月22日、「裁判と人権を考える福島のつどい」(福島県平和フォーラム、労組、宗教団体で構成する集会実行委)をひらき、支援の強化を確認した。つどいは、「湯ラックス熱海」を会場に200人が参加。「ザ・スクープスペシャル」の上映とともに、石川夫妻や狭山弁護団の中北龍太郎・事務局長、狭山事件の再審を求める市民の会から鎌田慧・事務局長が訴えた。中央本部からは片岡中執が参加した。
鎌田事務局長は、「えん罪・狭山事件の真相」と題して、この事件の証拠といえるものは、脅迫状しかない。その脅迫状を当時、石川さんは書く能力がなかった。被差別部落に生まれ、教育を受ける機会がなかったからだ。その石川さんが逮捕されていく背景に警察だけでなくマスコミの差別性や市民の無関心もあった。声を上げていくことが日本の司法制度を変え、民主主義を実現していくことになる、と訴えた。
中北事務局長は、「狭山再審とえん罪の克服」と題し、志布志事件や氷見事件、足利事件などの権力犯罪は、取り調べが密室でおこなわれ、自白がねつ造された。狭山事件では、接見妨害が著しくされた時期に嘘の自白をさせられている。狭山事件の闘いは、えん罪事件の構図を抜本的に変えていく闘いであり、えん罪のない社会を実現するものだ、と訴えた。
石川さんは、「いよいよ再審という時期だと実感している。解放運動のない地域での開催に感謝している。誘導で自白させられた調書も、現在では、被害者と出会ったとされる場所や殺害をしたという場所の至近距離にも働いていた人がいたことが明らかになっている。一般的にそんなところで殺人はできない」と訴えた。早智子さんも、司法による不正義が47年間つづいている。真実を明らかにしない姿勢は問題だ。しかし山は動いた。狭山に風がふいている。事実調べから再審開始を支援してほしいと訴えた。
つどいでは、主催者を代表して浦井信義・実行委員長(県平和フォーラム代表)が、「各界の協力で集会が実現した。狭山事件の再審は、検察からの証拠開示という有利な状況を迎えている。石川さんの再審実現、無罪をかちとるためにも集会参加者が連帯の声をあげていこう」と呼びかけた。
節目節目でとりくみを
宮城で人権考える契機に
【宮城】連合宮城主催の「人権を考える宮城の集い~狭山事件を通して、私たちの社会を考える」が5月25日、仙台市の県民会館でひらかれ、労組員ら130人が参加した。集会では、狭山事件を取り上げたテレビ番組「ザ・スクープスペシャル」の上映や、石川一雄さん、狭山事件再審弁護団の中北龍太郎・事務局長が訴えた。中央本部からは西島書記次長が参加した。
主催者を代表して連合宮城の山崎透・会長が、「初めてのとりくみ。えん罪が起きないためには取り調べ過程の可視化が必要。今日を契機に人権を考えていく」とあいさつした。
中北事務局長が「狭山事件第3次再審請求の現状」を報告。中北事務局長は、狭山事件はえん罪事件のデパートだとのべ、「マスコミの差別報道とともに、「接見交通権の妨害」が自白に追い込んだ大きい問題点だ、そうした手段で収集した「汚い証拠」はアメリカなら証拠とはならない」と批判した。また、証拠の一部が開示がされたが、なお、隠しもっている証拠の開示に全力をあげ、その成果を事実調べ、再審開始に結びつけたい、とのべた。また、日本のえん罪の特徴は「死刑になるような事件で被疑者がやってもいないウソの自白をしてしまうことに怖さがある。免田事件や財田川事件、松山事件はその典型。それは代用監獄という密室での取り調べであり、これは国連から廃止が勧告されている。幸浦事件のように警察の証拠のねつ造もある。取り調べの可視化が必要で早く可視化法案を実現したい。狭山事件は司法改革の要だ」と訴えた。
石川一雄さんは、「集会開催に感謝する。無実は明らかだが、すぐにしろといっていない。無実は法廷の場で明らかにすべきで、法廷のなかで事実調べをしてもらいたい。次の3者協議で事実調べを決定することを期待lしている。不退転の決意だ。さらなる支援をお願いしたい」と訴えた。
まとめで連合宮城の佐藤剛・事務局長は、「石川さんの無罪は明らか。部落解放中央共闘の一員として再審開始が早まるよう、節目節目でとりくみをお願いしたい」と参加者に訴えた。
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