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部落問題資料室
NEWS & 主張
第36回部落解放文学賞で表彰式
早くも次回に意欲
懇親会で出席者が語る

「解放新聞」(2010.07.26-2479)

 第36回部落解放文学賞の表彰式と懇親会を7月17日、大阪市内のホテルでひらき、86人が出席。受賞を祝うとともに、出席者は次回第37回の入賞をめざす意気込みをみせた人が多かった。
  選者の針生一郎さん(評論家)、立松和平さん(作家)があいついで亡くなったことを受け、黙祷ではじまった表彰式では、部落解放文学賞実行委員会の辻本正教・事務局長が開会あいさつで「今回は132人の応募があった。年ねん応募者の数が減るなかで、逆に小説や識字、それらがもつ課題が高まっていかなければならないのではないか」と問題を投げかけた。
  また、鎌田慧・同委員会代表は、「この文学賞は、思っている以上に大きな存在」と被差別者がとりくむ文化活動の意義を強調するとともに、「派遣労働など底辺の労働をになっている作品の応募がない」と課題も提起した。
  組坂委員長は「いろんな差別をのりこえていく思い、願いが作品にあらわれてくると、人間として尊重される社会の力となる。こうした作品が生まれたことを喜びたい」と祝辞をのべた。

喜びと決意が
  第2部の懇親会では、10月31日に応募締め切りの第37回部落解放文学賞に向けて、投稿する意欲も示された。
  詩部門で入選した久保和友さん(滋賀)。「これからも頑張っていきたい。おばあちゃんの話を聞き書きした。書かんといてといわれたが、書いて入選した」とエピソードを披露した。
  識字部門で入選した朴順女(バク・スンニョ)さん(大阪)は、夜間中学校にはいり、70歳にして初めて作文を書いたという。「生きてきた証を書きしたためて、子どもに読んでもらっている」と、つらかった被差別体験を言葉にすることで、大きく前に踏みだしたことを強調した。
  同じく識字部門で入選した木本久枝さん(大阪)は子どもに残したくて10年前に書きかけたものの、思うように書きあげられずにいた作品を、識字学級に復帰して完成させたことを紹介しながら、「これからも夢を追いかけながら書き続けたい」と意欲を示した。
  記録文学部門で入選した山本友美さん(福岡)は、家族史を書き続けていく決意を、列席した家族の前で明らかにした。
  このほか、佳作にはいった出席者も、一言ずつあいさつした。なかには、「37回の表彰式で、顔を会わせたい」と次回に意気ごみを示したり、作品の手直しにとらわれている心情を披露する出席者がいた。
  一方、選者からは辛らつな批評をまじえたあいさつもあった。


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