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被爆65年をむかえ、反核・反戦平和のとりくみを強めよう

「解放新聞」(2010.07.26-2479)

 広島、長崎に原爆が投下されてから65年が経過したが、私たちはあらためて原爆の恐ろしさ、むごたらしさ、戦争そのものの非人間性を語り継ぎ、核兵器廃絶と反戦平和のとりくみを強化しなければならない。
  65年の時の経過のなかで、日本の再軍備がはじまり、自衛隊は増強され、米国などの戦争に協力し海外にも出ていくようになってきた。とくにこの10年で有事法制が多くの反対を押し切りつぎつぎと成立させられ、日米軍事一体化が急速にすすんだ。米国は軍事産業が肥大化し、「自国の利益」のためにこれまでさまざまな地域で戦争を繰り返してきた。
  この米国の戦争に巻き込まれる危険な方向へ、日本は確実にすすんでいる。もはや日米安保条約の枠組みをこえて、既成事実の積み上げで日米軍事一体化が急速にすすんでいる。
  昨年に政権交代が実現したが、普天間基地の問題も混迷が続いている。普天間基地の問題は、移設先の問題に終始しては解決しない。いま政府に必要なのは、このような日米軍事一体化の危険な方向に歯止めをかけ、軍事偏重の安全保障政策を見直す決意である。

 これまでの日本政府は、核兵器廃絶を訴えながら、一方で米国の「核の傘」に依存するという矛盾した政策をとり続けてきた。政権交代を機に、核政策を転換し、新しい外交政策をうち立てるべきだ。連立政権の公約のなかにも、東アジア共同体構想や東北アジアの非核地帯構想などが盛り込まれている。東西冷戦構造から脱した今日の世界には、新しい視点での安全保障が求められている。
  日米の軍事一体化に突きすすむ安全保障体制から、東アジア全体との友好関係を築くことによる安全保障体制へ、方向転換をはかるべきだ。
  また国連は、テロを含む21世紀世界の脅威は国際的協調の強化によって取り除いていかなければならないと指摘し、「人間の安全保障」という考え方を打ち出している。そして暴力や戦争からの自由、差別、貧困、社会的抑圧からの自由、民族や文化による差別の廃止、教育機会の保障、多様性の尊重、文明間の対話などを軸に、共生社会を創造することを求めている。
  軍事力を競い、疑心暗鬼を深めあい、果てしない軍拡競争に大切な資源と労力を費やし、あげくのはてに多くの人命を奪い財産を破壊しつくすのではなく、各国の信頼関係を築くための政策を知恵をしぼって実現していくことが問われている。その意味で「武力で平和はつくれない」ということを肝に銘じ、世界人権宣言を具体化していくことが必要だ。

 現在、核保有国は、米・ロ・英・仏・中の5か国から、インドやパキスタン、イスラエルを加え8か国に拡がり、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の核実験やイランの核開発疑惑など、新たな核拡散の動きも止まっていない。一方、核廃絶をめざすと決意表明したオバマ米大統領の誕生後に新たな動きもある。オバマ大統領は、包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准や兵器用核分裂物質生産禁止条約(カットオフ条約)交渉開始をめざすことを表明し、米ロ間での新START(戦略核兵器削減条約)の調印をおこなった。また今年4月には、「NPT体制の枠内にある非核保有国に対しては核兵器を使用しない」とする核態勢の見直し(NPR)を発表した。
  そのような状況のなかで、今年5月に国運でNPT(核拡散防止条約)再検討会議がひらかれた。そして「核兵器保有国が核軍縮につながる異体的進展状況を2014年の再検討会議準備委員会に報告する」旨の項目を含む合意文書が採択された。5年前のNPT再検討会議では、合意文書が採択されなかったが、今回は一定の成果があった。これを生かし、核兵器廃絶と平和な国際社会構築へのあゆみを確かなものにしなければならない。
  広島の原爆死没者慰霊碑には「安らかに眠ってください、あやまちは繰り返しませぬから」と記されているが、その誓いを守り抜く決意をあらたにしよう。そして原水禁大会の参加をはじめ、被爆体験・戦争体験を語り継ぎ、地域から平和運動へのとりくみを強化していこう。

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