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7月11日に投開票された第22回参議院選挙で、民主党比例区公認の組織内候補であった松岡書記長の2選は実現しなかった。無念の極みである。
民主党自体が大敗北という結果のなかで、民主党比例区の当選枠は16議席しか確保できず、当選者の大半も大幅に得票を落とした。そして、松岡書記長は、6万8千票余の得票で45人中22位で落選ということになった。
参議院での「解放の議席」を失ったことは、部落解放同盟にとって計り知れないほどの衝撃的な打撃である。この事態のもとで、実現可能な段階になっていた「人権侵害救済法案」や「取り調べ可視化法案」の制定も厳しい局面になってきたと判断せざるを得ない。
しかし、私たちは、この事態をいたずらに嘆いてばかりしているわけにはいかない。今回の「松岡落選」の事態を深刻に受けとめて、今回の参議院選挙闘争を真剣に真正面から総括し、運動と組織の現状を徹底的に分析し、忌憚のない議論を通じて今後の運動と組織のあり方に関わる課題を明確にし、責任をもってすべての同盟員の心に響くような建設的方針を確立していくことが、もっとも重要である。
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今回の参議院選挙闘争の総括にあたって、基本的には「3つの視点」から議論することが必要である。
第1の視点は、「民主党への逆風という厳しい選挙」、「浮動票を期待できない選挙」との認識を前提として打ち立てた私たちの基本戦術が正しかったのかということであり、それがどこまで実行できたのかということである。基本戦術とは、「1人の同盟員が3人以上の確かな支持者を確保することを基本にして、地域内を基盤に組織内外を問わず支持を拡大すること、マイノリティや反差別・人権確立を闘う仲間の支持を広げること」であった。
第2の視点は、松岡選挙闘争の意義・位置づけがしっかりと共有され、同盟員1人ひとりの積極性・自発性を引き出すことができていたのかということである。1点目は、人権・平和・環境を基軸とした政策を実現していくために牽引役として松岡2選が必要であること。2点目に、部落解放同盟が地域の人たちに本当に必要とされ頼りにされているのか、また3点目として同様に周辺の人たちや反差別・人権確立にとりくむ仲間の人たちに心から信用されているのかが具体的に問われていること。4点目に、2004年の初当選以来この6年間の間に生じたさまざまな不祥事にたいする点検・改革や再生・改革運動が、社会的信頼を回復できているのかどうかの試金石になるということで意義づけた選挙であった。
第3の視点は、選挙結果にたいして真正面から向き合えば、部落解放同盟の運動と組織のあり方が根本から問われているということである。
選挙結果の全体を分析すると、どこかのとりくみが弱かったとか、とりくみ方がまずかったとかという選挙技術の次元で議論が片付けられる問題ではないし、片付けてはならないことは一目瞭然である。同時に、「組織力量の弱体化」という一言で済ませてはならない問題である。その原因を具体的な中身をもって抉り出すべきである。
そのさい、部落解放同盟がここ4、5年来継続してきた部落解放運動の再生・改革運動のなかで提起している課題を含めた議論が必要である。「行動指針」、「新規約」、「綱領改正案」などとリンクさせて真剣な部落解放同盟の運動と組織のあり方について議論がなされ、集約された結論にしたがって躊躇なく改革断行をすすめる覚悟が必要である。
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部落解放同盟は、「負けることができない」選挙闘争で敗北を喫したのである。私たちは、この困難な現実から再出発する以外にない。
したがって、今回の「敗北」について前述の総括の視点をふまえながら各級機関で真剣に議論してもらいたい。いっさいの建前論や虚飾・虚栄を排して、同時に清算主義に陥ることなく、今回の「得票数」という冷厳な事実を見据えながら、総括をすすめてもらいたい。
当然のことながら、今回の参議院選挙結果にたいして、中央執行部はその責任を一番強く感じている。決して責任を曖昧にしたり、責任を転嫁したりすることなく、責任ある立場の者がしっかりとその責めを負わなければならないことは事実である。それ故に、中央執行部は、その責任のとり万についても真剣に議論を交わしている。
どのような結論になろうとも、現在直面している困難な局面にたいして、部落解放運動を停滞させることなく前進させていく建設的な議論を混乱なく組織していく決意である。そのことが、部落解放運動の過去・現在・未来にたいして中央執行部が責任をもつという第1義的な任務であると考えている。
困難を克服する最短の近道は、苦しくても辛くても真正面から困難に向き合いこれを乗り越えていくことである。決して、困難から目をそらしたり迂回したりすることでは真の問題解決はできないことを肝に銘じておきたい。
第2期松岡参議院選挙闘争敗北の総括を通じて、部落解放同盟の運動と組織のあり方を根本的に問い直し、部落解放運動の確かな再生改革の議論へと深めていこう。
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