【長野】死後にまで差別戒(法)名をつけられた被差別部落民。差別戒(法)名をつけた宗派では宗祖の教えに反したと憾悔し、墓石の供養や過去帳の書き換えなどにとりくんできた。9月30日午後、長野県中野市の大徳寺で「差別戒(法)名墓石移転にともなう人間の尊さを求め、実現する会」による追悼式と研修会がおこなわれた。
この追悼式は、中野市内で土地整備であつめられ、1か所にまとめられていた墓石のなかに差別墓石が発見された。古いもので複数の宗派にまたがることから、「差別戒(法)名墓石移転にともなう人間の尊さを求め、実現する会」がつくられ、大徳寺の三界万霊塔に安置された。
この日は、県連、差別墓石が発見された地区の区長、関係宗派の僧侶など80人が参列し読経とともに献花し、安置にともなう開眼法要をおこなった。
この式で経過報告がされ、「差別戒(法)名を付けた宗教者の責任はいうまでもなく、そうした墓石を長い間放置してきた地区および行政の怠慢も深く反省されなければなりません。そうした自戒の意味と今後の人権啓発の進展を願い、「人間の尊さを求め実現する」という文字を刻んだ碑を新たに会として設置した」とのべた。また、竹之内健次・県連委員長は、「差別戒名墓碑の存在があらたな差別につながることのないよう改善事業が実施され、成果をあげてきたが、いまだに改善されないところもある」と指摘、今回のとりくみが「他の地域にも広がっていくことを願う」とあいさつした。
つづいて中野市豊田文化センターで研修会がおこなわれ、郷土史家で県の差別戒(法)名調査委員を務めた小林大二さんが「差別戒(法)名が問うもの」と題して講演。差別戒(法)名が多くつけられていくのは、江戸時代の文化・文政のころとのべ、身分統制の強化が背景にある。被差別部落民の戒(法)名は別帳にまとめられ、過去帳に記載されないものもあった。別帳の戒名の書き換えだけではなく、すべての物故者を順番に書き直すことが求められている。いい戒名が欲しいと思う気持ちこそ差別戒名と対になる意識だ、と指摘した。
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