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部落問題資料室
NEWS & 主張
NP〇・とちぎフードバンク(仮)設立へ
4600万人分の年問食料が廃棄

「解放新聞」(2010.11.22-2495)

 日本の廃棄食料の発生元は食品工場での加工ロス、外食産業での調理ロスと食べ残し、流通段階での返品、賞味期限切れによる廃棄ロスなど産業廃棄物に加えて、家庭内の食べ残しなど一般廃棄物も多い。年間2000万トン以上が廃棄され、半分以上の1000万トンが家庭からの廃棄である。これは、1人1日1800キロカロリーで生活している発展途上国の人たちの4600万人の年間食料に相当する。命をつなぐ食料が無駄にすてられている。
  しかし、産業廃棄物として処理される食品は、すべてが食用に不向きなものではなく、多くは食用可能なのである。パッケージの印刷ズレや擦れ、間近にせまった賞味期限、輸送時のへこみやパッケージの破損などが多い。そうした食品を廃棄させずに企業から提供してもらい、必要としている人たち(福祉施設など)で活用してもらうとりくみが各地でおこなわれている。
  こうした活動はフードバンクとよばれ、アメリカで始まった。日本でも10年ほど前から始められ、各地で実践されている。そのなかの一つにNPO法人・セカンドハーベストジャパン(2hj・チャールズ・マクジルトン代表)がある。
  このセカンドハーベストジャパンと連携して栃木でもこうした活動を定着させようと部落解放運動が中心になった挑戦がはじまった。その中心にいるのが、部落解放同盟栃木県連財務委員長の古川勉さんだ。すでにNPO法人アデットを設立し、指定管理者として被差別部落にある児童センターの運営をしている。今年3月にとちぎフードバンク活動推進検討会(設立準備会)が6人で発足。ほとんどが個人の資格でのボランティア。来年には、新たな「NPO法人・とちぎフードバンク(仮)」の設立をしようと奮闘がつづいている。

解放運動の人権理念の具体化
  今年3月には、フードバンクの設立に向けて「SR(社会的責任)向上のための企業とNPOの協同の集い」を開催した。このなかで、セカンドハーベストジャパンの秋元健二・理事は、「企業から無償での提供がポイント。フードバンクは新しい食品流通を提供するシステムであり、インフラの整備、食品の安全性を寄贈者とセカンドハーベストジャパンがうけもっている。企業の責任と施設の保障をいかに守り食品を属けることができるかが大切。また、商品がどこから来て、どこに届けたのかの記録が大事であり、寄贈者のリスクをコントロールする必要がある」などの活動理念を説明した。この日は、100人以上が参加。実際にどのような物品が届けられるのか「試食」がおこなわれた。

物品ひきわたす手順の練習もし
  7月には、活動推進検討会がおこなわれ、実際の活動にそなえた事業シミュレーションがおこなわれた。実際に物品をどのような手順でひきわたすかをトレーニングした。8月には、セカンドハーベストジャパンから講師を迎えて「フードバンクを取り巻くさまざまな論点と課題」について指導を受けた。9月には、活動事業について、会議をおこない、「とちぎフードバンク」の位置づけについて討議をした。
  10月16日には、県内の児童養護施設など6団体に、連携する企業から提供された醤油とデミグラスソース、グラタンソースが提供された。
  古川さんは、「部落解放運動が築いてきた人権理念の具体化だ。私たちは企業から食品を預かって必要とする人に届ける仲立ちにすぎない。人権基準をすべての人に例外なく保障する闘いの一歩として、フードセキュリティを栃木から発信したい」と意欲をみせている。


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