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部落問題資料室
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全国各地で人権週間のとりくみをすすめ、人権と平和の確立に向けた活動を

「解放新聞」(2010.11.22-2495)

 「世界人権宣言」は、第2次世界大戦の深い反省から「差別を撤廃し、人権を確立することが恒久平和に通じるものである」として、1948年12月10日、第3回国連総会で採択された。国運はこの日を「世界人権デー」と定め、日本も、12月4日から10日を「人権週間」としている。
  この「世界人権宣言」の精神をふまえて、具体的な差別問題の解決と人権の確立に向けて、国連では31の人権関係条約が採択されている。残念ながら日本では、国際人権規約や人種差別撤廃条約、女性差別撤廃条約、子どもの権利条約など13条約を締結しているに過ぎない。しかも条約の重要な部分、とくに差別を規制・禁止する事項については留保しているものが多い。昨年の政権交代後も、こうした日本政府の人権諸条約にたいする消極的な姿勢に大きな変化はみられない。全国各地で人権週間のとりくみをすすめ、人権と平和の確立に向けた活動を強化しよう。


 「国際テロ撲滅」を口実に、アフガニスタンやイラクへの攻撃を強行した米・ブッシュ大統領にかわって登場したオバマ大統領は、いち早く「核兵器のない世界を追求する」と核兵器廃絶を訴えている。いまなお、アフガニスタンやイラクに駐留米軍を残しているとはいえ、平和を求める世界各地の反戦行動の成果であることはいうまでもない。
  民族紛争であれ宗教対立であれ、武力によって解決する問題はひとつもない。暴力がもたらすものは、憎悪の連鎖であり、多くの女性や子どもが差別や貧困の犠牲になっている。さらに経済活動のグローバリゼーション化が、貧困や格差拡大にいっそうの悪影響を与えている。
  第2次世界大戦で、日本は中国、朝鮮をはじめとして、アジア・太平洋諸国への植民地支配と侵略戦争によって多大な被害をもたらした。しかも、広島・長崎への原爆投下、無謀な沖縄戦によって、国内にも多くの犠牲者を生み出した。軍国主義の暴走を止めることもできず、こうした侵略戦争を引き起こした深い反省から、日本国憲法が制定されたのである。

 「世界人権宣言」は、人類共通の課題として、人権確立をめざすことが、世界の平和と民主主義の実現に大きく寄与することを明確にしたものであり、憲法もそうしたことに不断の努力が必要であるとしている。
  しかし、今日的には、部落解放運動やさまざまな人権問題にとりくむ活動が拡がりつつある一方、部落差別はもとより、多くの差別事件や人権侵害が起こっている。いまや、人権侵害救済制度をはじめとした人権の法制度確立は急務の課題である。政府が批准している人種差別撤廃条約や女性差別撤廃条約などが提出を義務づけている報告書にたいする勧告のなかでも、国内人権機関の設置の必要性が強く指摘されている。まさに深刻な差別の実態、人権侵害状況の反映といえる。
  さらに、制定されてから10年が経過した「人権教育・啓発推進法」の積極的な活用も重要な課題である。人権週間のとりくみのなかで、差別の実態を広く訴え、人権侵害被害の救済制度の確立、人権教育・啓発の充実に向けた活動を強めよう。

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