「解放新聞」(2010.11.29-2496)
初任者研修内容の検証を
石川県
石川県交渉を県庁内会議室で。県からは阿久渾孝・総務部長ら20人が出席。来年度予算の特徴▽09年度市町村職員初任者研修問題▽08年民生児童委員の人権・同和研修問題▽いしかわ子育て支援財団の結婚相談事業問題▽公正採用選考問題▽人権教育の推進などの課題で意見交換した。
09年初任者研修では、受講者から「同和問題(団体)はこわいという印象を与えるだけになり、講義内容に違和感を覚えた」という情報が部落解放同盟に寄せられ、1月22日の前回交渉でも問題提起し再研修を求めていた。
県は研修内容を誤解を生まないわかりやすいものにと、DVDも活用しているとしながらも、再研修は困難と後ろ向きの姿勢に終始し、最終的にはフォローするための研究と内部議論をすることになった。
08年の研修は、講義の録音もあり、検証するよう重ねて求めた。レジメ内容は、09年とほぼ同じで、全国水平社宣言の部分で「決議」のみが紹介され、徹底的糾弾の部分にアンダーラインがひかれていた。2つの研修の講師は、いずれも県人権推進室職員。このため県として、どこに問題があったのかを明らかにする必要があることを重ねて指摘し、とりくみを求めた。
結婚相談事業では、従前の相談カードを今年4月から改正し、全社協の示している6項目を基準としてその趣旨にそって事業をおこなうよう指導するつもりであることなどが示された。
しかし石川県では、民間から「縁結び・ist」を募集して、この人たちがコーディネートしており、コーディネートする人たちの意識が変わらないと、いわゆる「裏のエントリーシート」ともいわれる「要望を聞いたメモ」などが生まれる可能性があり、これまでの様式の問題点をすべて明らかにする必要があることを指摘。08年10月に財団に問題提起をしてから10年1月まで旧様式に固執していたことをふまえて▽オリジナル版受付け票とその問題点を明らかにする▽財団と「縁結び・ist」の学習の機会を▽「裏シート」ができないよう検証の方法の検討▽6項目以外記入しないことの周知を検討することになった。
通知制度を市民の目線で
金沢市
金沢市交渉を市役所でおこない、市から須野原雄・副市長らH人が出席した。
市は2012年度に意識調査をおこない、人権教育・啓発の基本計画を見直したい、との方向を示し、パブリックコメントの実施や人権意識調査の専門家の意見を聞くことも確認した。
戸籍不正取得の問題では本人であっても不適切な請求理由では、指導を徹底できるよう、職員の姿質向上をはかる。
本人通知制度については、承知はしているが将来的課題というにとどまり、市民の目線で歩むことが必要で、不正を許さないための対応をするよう重ねて求めた。
「金沢市育英奨学金」では、条件の「身体強健」は不適切であり、「健康上就学に支障がないが、経済的理由が困難な生徒に学資を支給」と趣旨を改定したことが示された。
県民意識調査の準備へ
富山県
富山県交渉を県民会館会議室で。県からは村椿晃・生活環境文化部次長ら18人が出席。「人権教育・啓発推進法」の具体化▽結婚相談事業問題▽就職試験受験報告書などで意見交換をおこなった。
このなかで県民意識調査について、前回調査は04年であり、すでに6年を経過しており、専門家をいれたしっかりした調査をしかるべき時期に実施する準備を要請、県も準備をすすめていく必要に言及した。市町村の人権教育・啓発のとりくみについては、昨年12月に文書(文科省「人権教育の指導方法等の在り方」)もつけて人権教育・啓発の2本だてでと強く要請し、4市町で総合計画に人権規定を設けることになったことが報告された。
結婚相談事業で「申込書」を全社協の6項目に去年6月に改正、改正後の意見や反応などを聞いた。改正前後で相談件数は変わらないものの、見合い数は増加、「会ってから」という人が増えていることが報告され、「家族状況がわからない」という人には、「本人同士で会って話を」といっている。登録期間が2年間ということもあり、問題のある申込書と混在していることがわかった。このため、名前、生年月日、現住所、本人の職業、趣味、自己ピーアールの6項目以外は収集しないことを広く県民に明らかにし、改正前の様式の人には切りかえを要請するよう求めた。
受験報告書では、精度をあげるため、全票を回収することと調査マニュアルの策定を重ねて求めた。
不適正事案のDVD活用
富山労働局
富山労働局交渉は県民会館会議室でおこない、労働局から山本秀二職業安定課長ら4人が出席。▽企業内公正採用選考人権啓発推進員の設置状況や研修▽就職試験受験報告書の集約結果などの報告をうけ、、それをもとに意見交換した。
局は、今年の研修会で初めて不適正事案のDVDを活用したことを報告。昨年度、富山県教委から連絡のあった不適正事案は25社46件だった。うち県内推進員設置済事業所は20社38件だった。
近隣県とくらべると把握数が少なく、県にも働きかけ、近隣県の精度に近づけるとりくみや、研修への参加指導の工夫、協力員制度を活用したトップ研修などの必要性を指摘。厚労省が総務省に、推進員研修会に行政機関も参加するよう要請しており、この流れをうけて県内の市町村に参加するよう働きかけを求めた。
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