一連の土地差別調査事件で12月1日、大阪・パル法円坂で、株式会社J社にたいする糾弾会をおこなった。同社はグループ企業の系列会社で、その社宅の既存物件をマンション事業として展開できないかどうかで、東海・中国・九州エリアの物件77件を調査会社と「分譲マンション事業検討物件の市場調査委託契約書」を結び調査させ、そのなかに2件の差別表現があった。しかし、その後、同社は調査物件を取得しないことになり、調査報告書をそのまま社内保管した状態にあった。事件の情報を入手し、自主的に調査し、報告を中央本部にあげていた。
糾弾会では、J社は調査契約のなかに明確に「地元不動産業者のヒアリング」や調査の企画書では「地域及び土地柄評価」「現地調査で…必要に応じて、ヒアリング調査も参考にする」などとしており、事実上フリーハンドで調査会社に依頼していた。そのため、部落問題の存在をわかっていて調査すれば差別の異体的な実態が出てくること、確信犯的な調査依頼ではなかったのか、と反省を求めた。しかし、代表取締役常務は「同和問題が存在するという認識はある、学習したことがある」としながら「差別意識はなかった。部落への忌避意識が存在することは知らなかった」とし、「調査依頼をすると、こういった報告があがる、調査させたことに差別性が潜んでいたことを反省」とするのみ。契約を結んだ調査そのものが差別調査の依頼であり、調査会社はそれを忠実に守っただけ、部落問題の存在や市民の忌避意識という問題への認識の深みも持たず、そのことが生み出した重大な結果にたいしても、「そのことに思いいたらなかった」とするだけのものだった。このため糾弾会では、しっかり持って帰って学習を、社としての見解にきょうのやりとりをふまえ提出するよう求めた。
まとめで辻本中執は、これまで研修が色濃い形でおこなわれてきたのか、原点にかえって研修を一から始めてもらう必要があると指摘し、「地元では同和の人が住む地区として見られており、住宅地としての評価は低い」と部落民が移り住んだ地区までも部落同然にあっかわれている状況が明らかになった、差別意識が微動だにしていない現実、忌避意識が75%あることを示し、社員1人ひとりに啓発がすすむなら事態は大きくすすむ、と結んだ。
糾弾会には中央本部から大野副委員長、辻本中執、赤井中執が出席、同盟員、企業関係者など170人が参加した。また、J社からは代表取締役常務、総務部長、人権啓発室長など5人、親会社から2人、担当した調査会社から2人、業界団体、行政関係者なども出席した。
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