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部落問題資料室
NEWS & 主張
石川一雄さんのメッセージ

「解放新聞」(2011.01.01-2501)

全国狭山支援者の皆さんへ謹んで新春のお喜び申し上げます。
例年の事乍ら旧年中も何かとお骨折りを賜り誠にありがとうございました。私も今年こそは絶対に事実調べの実現を通して「無罪を勝ち取るんだ」の気構えと不退転の決意を秘めて新しい年の第一歩を踏み出しました。
昨年を振り返ってみれば、仮出獄して16年の中で、一番充実感に満ちた年であったように思われました。
勿論、自分自身を奮い立たせた要因はなんといっても裁判官の勧告に基づいて、一部とはいうものの、47年間隠された証拠開示に因って、私をして心を掻き立てると共に、支援者の皆さんもその思いを共有し、再審闘争の中で、今度こそ「裁判が動くんじゃないか」と確信的にとらえた結果、各地で狭山集会等が開かれ、私自身も東西奔走駆け回りました。
今更言及する迄もなく、私自身が社会的立場を自覚して以来、一貫して、わが命は300万同胞の命でもあると感じ、32年の過酷なというよりも就縛な拘禁生活に耐え、司法の理不尽極まりない差別攻撃にも萎えることなく正面から立ち向かって来られたのは、外でもなく、被差別部落の兄弟姉妹をはじめ、労働者、宗教者、反差別運動に携わっておられる多くの方々に石川一雄を支援し続けて頂いたお陰で、私自身も自己変革を成し遂げることができたと思います。
振り返れば昨年は、多くのえん罪事件が表面化したことで、市民の中でも「えん罪」に対する関心も高まり、高裁前での情宣行動では多くの署名を頂いたり、弁護士さんや、見知らぬ方から「石川さんがんばって」「応援しています」の声をかけられ、感激したものでした。
そういう意味で、今年の狭山闘争は世論の声を背景に、なんとしても再審実現に漕ぎ着けなければならないと、闘う姿勢を強く持って取り組んで参る気概でいます。
私の狭山事件は一般的普遍的に存在する社会意識としての差別観念を土台とした司法当局の違法な別件逮捕、再逮捕、長期拘留に因る精神的、肉体的拷問にも等しい疲労困憊の極限状態の中で作られた「自白」であってみれば、本来なら証拠上認められないという結論以外はありえないと解すべき筈なんですが、こと、今日に至ってもいまだ司法当局が真相究明しようとしません。
何れにせよ、私を犯人にでっち上げた黒幕は警察に対する捜査指揮命令権を持つ検察であり、最高検を頂点とした検察機構こそ極悪の差別犯罪者集団なので、今後も徹底的に弾劾していかなければなりませんが、多少なりとも救われたのは別件逮捕当日に書かされた上申書が開示されたことであります。
今迄も国語学者の先生方の鑑定書が提出されておりますが、取調官の口述の基に書かされた物とはいえ、47年間も隠してきた私の自筆の上申書が開示されたことによって、ますます当時の私にはあの脅迫状は書き得なかったことが証明されたのです。
だが然し、前述の様に情勢は依然として厳しく、検察当局は頑なに証拠隠しの姿勢を崩していません。したがって当然の事乍ら、今後とも更に厳しく追求して参りますが、どうか皆さんも、今年こそ私、石川一雄の殺人犯のレッテルが剥がれるようご協力のほど強く強くお願い申し上げます。
年頭に当たり私の決意の一端とさせていただきましたが、本年も支援者の皆様方のご健勝とご活躍の程を念じつつ失礼いたします。

犯人に作り上げたる全過程 今年こそは法廷の場で

2011年1月
石川 一雄


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