調査会社4社にたいする土地差別事件合同糾弾会を12月21日、大阪市内でおこなった。大阪府から個人情報保護条例の違反をつきつけられても、なにが問題なのかがわからないほど、人権感覚が麻痺していたことを認めた調査会社もあり、土地差別調査事件をめぐって、マンション開発のディベロッパー、広告代理店、調査会社の3者による根深い差別の構造が明らかにされた。
大阪府の指導を受けた調査会社は、「個人情報保護条例違反の認識はなかった。(部落差別するのは)悪い認識はあったが、麻痺していた。調べたら伝えるべきだと思っていた」と、人権より商売を優先してきたことを告白。「どこが個人情報かわからなかった」と人権感覚ゼロだった調査会社もあった。
土地差別調査の報告書は、調査会社から広告代理店をつうじて、ディベロッパーにあげられていく内部資料であるにもかかわらず、同和地区と直接的な表記をせず、わざわざ「地域下位地域」などといいなおしていた。別の調査会社からあがってきた報告書にあった「地域下位地域」を「不人気地域」に書き換えていた調査会社をただすと「なんらかの罪悪感があって」と、より巧妙に部落差別をしていた姿勢を認めた。
6~7年前、「深く掘り下げて報告してくれ」と、広告代理店から同和地区の確認を求められた事例を明らかにした調査会社があり、最近は地域性について別の調査会社に発注しているケースがめだった。
地域性の調査について、「忘れもしない。1985年のケース。地図を片手に不動産屋に聞く。「そんなとこ(同和地区)住めるか」といわれた」と、地域情報の源となっている不動産業界の裏の顔をしめす証言もとびだした。
また、「なぜ同和地区が敬遠されるのか」と、端的にただすと、「同和地区の学校に通わせたくない忌避意識がエンドユーザーに少なからずあった。ファミリーマンションの売れゆきが悪い」と体験談をまじえた説明があり、「いまのままでは(差別調査の)抑止は不十分。恒久的におこらない仕組みづくりがいる」と、差別調査の根絶の難しさを調査会社みずからが認めるとともに、今後、学習を深めながら業界に働きかけていく決意をしめした。
これまでに同和地区だけでなく、「半島系の人が多いエリア」「重度の精神病患者を収容する病院」などの調査報告がわかっており、差別の対象が広範囲だった。
これにくわえて、顧客から電話などで問い合わせがあると、蓄積された調査情報を使って答えていたことを認めた調査会社があり、同和地区の所在地だけでなく身元調査に使われた可能性が問題として残っている。
4社からは8人、部落解放同盟から岸田副委員長、赤井中執、このほか、関係する府県連や行政、企業などから172人が参加した。
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