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今国会での「人権侵害救済法」制定実現に全力を挙げよう

「解放新聞」(2011.02.14-2506)

 1月24日から6月22日までの150日間の予定で、第177通常国会が開会されている。国会冒頭から、種種の問題を抱えながら紛糾し、荒れ模様となっている。1月31日には、小沢一郎・元民主党代表が政治資金問題で「強制起訴」され、その動向しだいでは大きく政局に影響を与えることは必至である。
  波乱含みの国会状況ではあるが、来年度予算と予算関連法が3月中下旬くらいまでにあがると、直ちに闇法としての国会提出法案が最終的に閣議決定され、個別の法案や政策をめぐっての国会審議となっていくのが適例である。
  ただし、今年は4月10日、24日に統一自治体選挙が実施されるので、実質的な個別法案の審議は、5月連休明けくらいからにずれ込む可能性がある。
  この国会の動向をしっかりとにらみながら、今国会で私たちが長年にわたって求め続けてきた「人権侵害救済法」の制定を必ずや実現しなければならない。2002年3月に小泉内閣のもとで「人権擁護法案」が国会に提出されてから、今年で10年目を迎えようとしている。差別や人権侵害を受けている多くの被害者が泣き寝入りで放置されている事実を前にして、これ以上の立法不作為状態は許されるべきではない。

 民主党「人権政策推進議連」は、昨年12月の総会で、国会提出のための法案作成をおこなう作業チームを発足させた。現在は、まだ検討作業をおこなっているところである。また、人権議連会長であった中野寛成議員が第2次改造内閣で国務大臣に就任したために、後任会長の選定など体制の再整備を急いでいるところである。
  政府サイドも、法務政務三役会議(江田五月・法務大臣、小川敏夫・副大臣、黒岩宇洋・政務官)を中心にして議論を引き続き煮詰めている段階である。
  いずれにしても、現時点では、「人権侵害救済法案」は、今国会での「提出法案」の扱いになっておらず、「検討法案」の段階にとどまっている。これを、予算関係が成立する頃までには「提出法案」として閣議にもち込めるよう強力に働きかけていく必要がある。一万、超党派の「21世紀人権政策懇話会」は、これまでの民主党、国民新党、社民党、公明党、自民党の5党に加え、あらたに「みんなの党」の有志議員が加盟し、その枠組みが拡大してきており、与野党をこえて議論ができる政治条件を整えてきている。
  その意味では、いまなお国会内外に法案反対勢力が存在し、国会運営も困難な要素があるものの、「法」制定への機は着実に熟してきつつあるといえるし、それを促進するための継続的な院外闘争が決定的に重要である。

 院外闘争を強化するために、中央本部段階では「国会闘争本部」を設置して、国会闘争の山場では常駐体制を敷きながら、与野党や国会議員にたいする要請行動および国会請願などの行動を間断なく展開することにしている。
  当然のことながら、中央実行委員会でも、「国会対策本部」を設置して、統一行動や構成団体ごとの独自要請行動を強化してもらい、各地実行委員会でも積極的な要請行動や東京集会を開催するように強く要請しているところである。
  また、日弁連や人権NGO、学者・研究者などとも「法」制定への現実的な意見交換をおこないながら協働行動を広げ、メディア関係への働きかけも強化する中で、「国内人権機関の創設」を中心とする「人権侵害救済法」制定への広範な世論形成をはかっていくことを急がなければならない。
  同和対策審議会答申で「法制度」の不備が指摘されてから46年、人権擁護推進審議会答申が「人権侵害救済にかかわる法制度」の整備・確立を政府に要請してから10年の時間が経過している。国運人権諸条約委員会からも1998年以来たび重ねて国内人権機関(人権委員会)の早期設置が勧告されている。
  何よりも、差別や人権侵害で苦しんでいる多くの人が存在している事実がある。この立法事実に立脚し、これまでの政府責任・政治責任・国際責務を踏まえるならば、1日も早く「人権侵害救済法」は制定されなければならない。
  今国会での制定実現を必ずやかちとり、日本の人権の法制度確立への大きな礎を築き上げよう。

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