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部落問題資料室
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統一自治体選挙の勝利に向け万全の準備を積み上げよう

「解放新聞」(2011.02.21-2507)

 今年4月には第17回統一自治体選挙が実施される。前期の10日に知事や都道府県議会議員と政令市議会議員の選挙、後期の24日には市町村長と市町村議会議員の選挙という日程になっている。この4年間に市町村合併などにともなう選挙もかなりのところで実施されており、「統一」の実態が薄れてきている面もあるが、多くの白治体で選挙が予定されている。
  地方分権がすすんでいく時流のもとで、自治体選挙のもつ政治的意味はこれからますます大きなっていくことは必至である。同時に、分権と地方自治のあり方をめぐって、既成のやり方にたいする変革を求めるさまざまな動向と試行が顕著になってきている。
  とりわけ、2月6日に実施された名古屋市長選や愛知県知事選挙では、既成政党を総批判しながら地域政党を立ち上げて闘った候補者が圧勝という結果をもたらした。この勢いは、大阪などでも知事政党である「維新の会」の動きに連動しており、各地で同様の動きが出てきている。
  これらの動きに共通していることは、既存の政治・経済の枠組みを変革(破壊)するということを大衆受けしやすいワンフレーズ(一言)で掲げていることである。これは、かつての小泉政治を彷彿とさせるものであり、分かりやすいとともに危険な政治的土壌を感じざるを得ない。

 考えてみると、この10年間、小泉政権が新自由主義路線にもとづく「変革」を掲げ、民主党政権がマニフェストによる「変革」を提起し、いま、地域政党が既存政党の否定による「変革」をよぴかけている。それぞれの時期に、有権者が政治に抱く不満と閉塞感を打ち破っていく「変革」への期待感を吸収しながら勝利をおさめてきたが、その期待は裏切られているというのが現実である。
  何故そうなっているのか。時どさの大衆迎合的な個別政策は打ち出しても、「変革」への基本理念と政治哲学が誤っていたり、あるいは不明確で一貫していないからである。私たちは、「変革」への基軸は「人権・平和・環境」であり、あらゆる政策の根本であると考えている。国政でもこのことを何度も強調してきたし、今回の統一自治体選挙でもそれは不変である。

 部落解放同盟は、今回の統一自治体選挙に多くの組織内候補と推薦候補を擁立して闘いを準備している。組織内候補については、部落解放同盟の運動方針を政治活動の場で具体化していくことを求め、推薦候補については人権の法制度確立のとりくみを中心に締結した政策協定の具体化をすすめることが選定基準になっている。当然のことながら、その政策の根底にあるのは、「人権・平和・環境」の基軸である。
  とりわけ、今回の統一自治体選挙での組織内候補については、一般的に「人権・平和・環境」を訴えるだけにとどまらず、異体的な政策提起として仕事・雇用の創出を軸とした課題を押し出してもらいたい。
  今年の全国大会運動方針は、重点課題の第1番目に「生活課題に密着した闘い」を打ち出し、すべての課題を「仕事づくり」と「雇用創出」のとりくみにつなげていくことを提案している。その具体化の先頭に立って、組織内候補は政策を訴え、地域の人はもちろんのこと困難を抱えた人たちの要望をしっかりと受けとめる選挙活動を展開し、「変革」への明確な政治のあり方を示してもらいたい。

  人権・平和・環境を基軸にした政治をめざす組織内候補や推薦候補の必勝のために、部落解放同盟は全力をあげて統一自治体選挙を闘い抜く覚悟である。この選挙戦の勝利を通じて、地方分権や地方自治を実質的に地域から実現していく力にすることが、人権・平和・環境を基軸とした「国や社会のあり方」へと変革していくことに直結しているのである。
    その時どさの「風頼み」の選挙活動ではなく、部落解放運動が政治に何を求めるのかを明確にし、地域や大衆に密着した生活課題を全面に押しだしながら、政治変革や社会変革につなげていく選挙活動を徹底して貫くことが重要である。
  そのために、いま問われている最重要の政策課題は、「仕事づくり」と「雇用創出」である。部落内外の協働の力と知恵を結集して、地域実情に適応した異体的なとりくみを仕掛けることである。政治はそのために機能しなければならないし、議員はその支援の仕組みを創り出すための活動が期待されている。
  今春の統一自治体選挙闘争を部落解放運動の新たな闘いへの契機として、すべての組織内候補と推薦候補の全員当選をめざして周到な闘いをおしすすめよう。

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