狭山再審の実現へ向け、さらに証拠開示・事実調べを求めていこう
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狭山事件再審弁護団(中山武敏・主任弁護人)は、2010年12月14日に、東京高裁に新証拠を提出した。これは、2010年5月に東京高検から証拠開示された筆跡資料とそれにもとづく筆跡鑑定書2適などである。東京高裁の開示勧告を受けて東京高検は36点の証拠を開示したが、そのなかに事件当時の石川さんの筆跡資料がふくまれていた。1963年5月23日の逮捕当日に石川さんが書いた狭山警察署長あての上申書などである。弁護団は、これらの筆跡資料をもとに、筆跡鑑定を依頼し、日本語学者である遠藤織枝・元文教大学教授による第2鑑定、そして、多くの筆跡鑑定の経験をもつ魚住和晃・神戸大学名誉教授による第2鑑定があらたに作成された。遠藤第2鑑定、魚住第2鑑定は開示された5月23日付け上申書と脅迫状は同じ人が書いたものではないと結論づけている。2
東京高裁の開示勧告にたいして、東京高検の検察官は、3項目を「不見当(見当たらない)」として、いまだに開示していない。弁護団は、検察官の回答にたいして、見当たらないとする理由の十分な説明と関連する証拠の開示を求めていたが、2010年12月の3者協議でも不見当とする回答をくりかえし、犯行現場とされた雑木林の血痕検査は検査じたいがおこなわれなかった可能性が高いとしている。しかし、雑木林内に連行して殺害したという石川さんの自白は逮捕後1か月をへた6月23日に始まっているが、明らかになっている犯行現場の実況見分調書は事件後2か月以上たった7月4日付けのものである。この日まで警察や検察は犯行現場の裏付け捜査を何もやらなかったというのであろうか。3
3月16日には、布川事件の再審判決が出される。布川事件は、狭山事件の4年後の1967年に茨城県でおきた殺人事件で、犯人とされた2人の自白が有罪証拠とされたえん罪事件である。再審請求で、事件当日、現場で2人とは別の人物を目撃した証言や現場で採取された毛髪が2人とは別のものが残っていたという鑑定書などが証拠開示され、再審開始の大きなカギとなった。また証拠開示された取り調べ録音テープに編集された痕跡が発見され、自白の信用性は否定された。30年以上もこれら重要な証拠を検察官が隠していたことが大きな問題として浮かびあがっている。
狭山事件でも、今回、当時の石川さんの筆跡資料という重要証拠が開示され新証拠に結びついた。証拠開示の重要性を確認しなければならない。密室の取り調べでなされた自白に安易によりかかることなく、十分な事実調べと証拠開示が必要であることを布川事件は示している。一方で、元厚労省局長のえん罪事件で、検察官のあり方が問われているが、まだ取り調べの全面可視化にはいたっていない。取り調べの可視化や証拠開示の保障は国運からも再三勧告され、布川事件の再審判決を機に、「狭山事件でも徹底した証拠開示と事実調べ・再審を」「取り調べ全面可視化と証拠開示の保障の法制化を」の世論をまきおこしたい。
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近くひらかれる第6回3者協議に向けて、狭山弁護団は、検察官にたいする反論を提出するとともに、さらに証拠開示勧告と事実調べを求めている。
狭山事件の再審を求める市民集会実行委員会では、3月24日に東京・星陵会館で集会をひらき、こうした第3次再審の現状についての報告、新証拠の学習と今後の闘いについての意見交換をおこなうことにしている。石川一雄さんは早智子さんとともに、裁判所前での宣伝活動をおこなっている。
わたしたちも、全国各地から、東京高裁に開示証拠にもとづく筆跡鑑定などの事実調べを求め、東京高検に全証拠の開示を求める世論を大きくし、高裁、高検への要請ハガキ運動などにとりくもう。
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