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部落問題資料室
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第56回全国女性集会の成功へ力を合わせよう

「解放新聞」(2011.04.25-2516)

 政権交代が実現し、私たちは人権と平和を基軸にした政治の変革が大きくすすむことを期待したが、残念ながら成果をあげているとはいえない。今日、不安定な雇用状況や不十分な社会保障・医療制度など生活破壊や貧困の問題が深刻化している。
  また、今回の東日本大震災では、広範囲におよぶ大きな被害にたいして、長期的な支援体制でとりくんでいく必要がある。さらに、福島第1原子力発電所の放射能汚染事故が起き、「計画停電」や節電など、日常生活にも大きな影響を与えている。原子力発電の安全性も含め、今後のエネルギー政策の見直しが求められている。
  いのちと生活、人権・平和・環境を守るための私たちのとりくみは、部落のみならず、すべての人たちに共通する課題である。この課題を解決するためにも、反貧困・反差別の協働のとりくみが重要である。
  本年、5月21、22日の2日間、香川県丸亀市内で部落解放第56回全国女性集会(香川全女)を800人規模でひらく。すでに、香川県連女性部を中心に集会成功に向けたとりくみがすすめられている。全国の女性の力で部落差別をはじめ、あらゆる差別に反対し、男女がともにジェンダー(社会的・文化的に形成された性差)によって役割を強制されたり、生き方を制限されたりすることのない男女平等社会の実現に向けて、第56回全女を成功させよう。

 男女平等社会の実現にとって、とくに女性が働く環境や条件の整備が大きな課題になっている。また、私たちの意識や行動面では、まだまだジェンダーにとらわれた部分がある。男女平等の意識をつくるには、まず、なにがジェンダーかということに気づくことが大切だ。男だから、女だからという問題や、よく使われる言葉に「仕事と家庭の両立」がある。これは女性にたいしてだけ使われ、男性にたいしてはあまり使われない。そして、日常生活やメディアのなかに存在するジェンダーなどに気づき、身近なところから制度や慣習について見直すことができるような「ジェンダーにとらわれない意識」を積極的に形成していくことが重要である。ジェンダーによって役割を強制されたり、生き方を制限されたりすることのない環境をつくり出し、男女平等を考え行動していく必要がある。
  6年前に育児・介護休業法の改正法が施行され、男女がともに働く権利と育児・介護の両立をめざして、男性にも女性と同等の権利を認めている。しかし、現実に男性が育児休暇や介護休暇を取得できる職場がどれだけあり、まわりの同僚や先輩、後輩たちに気兼なく取得できる労働環境があるだろうか。女性も男性も職場で十分に能力を発揮していくためには、職場の労働条件の整備や家族的責任を男女がともに担い、お互いを尊重し合う豊かな関係づくりが重要だ。
  さらに、組織内でも女性が力を発揮できる組織運営、運動になっているのかどうかについて、「男女平等社会実現基本方針」(改訂版/2008年)を学習し、中央本部・都府県連・支部で具体的なとりくみをすすめていかなければならない。

 昨年8月には、内閣府男女共同参画局から「第3次男女共同参画室本計画策定に当たっての基本的な考え方(答申)」の意見公募があり、答申のなかに、「マイノリティ女性」や「部落女性」などの文言が反映されていないため、各都府県連に緊急のとりくみとして、「マイノリティ女性」や「部落女性」の声を反映してほしいという意見を集中的に送付する要請をおこなった。また12月には、女性運動部長などが、当時の内閣特命担当大臣と面談し、「第3次男女共同参画基本計画」に「マイノリティ女性」や「部落女性」の声を反映してほしいと要請行動をおこなった。
  しかし、12月17日に閣議決定された「第3次男女共同参画基本計画」に、「同和問題等に印兄、女性であることからくる複合的に困難な状況におかれている場合がある」という文言は入っていたが、私たちの声は反映されなかった。
  今後とも、国連女性差別撤廃委員会から出された勧告(2003年、2009年)を確実に履行させるためにも、アイヌ・在日コリアン・部落女性の3者での申し入れや、各地でおこなわれたアンケート調査結果をふまえて、関係省庁との交渉をおこない、それぞれの実態を訴えるとともに、マイノリティ女性にたいする施策の充実と政府による実態調査を要求するなど、粘り強い働きかけを強化しなければならない。
  差別のない社会を実現するためにも、こうした差別と闘う国内外の女性たちと反差別・反貧困のネットワークをつくりながら、人権と平和の確立、いのちと生活を守る協働のとりくみをすすめよう。

 第56回全女では、部落解放・人権政策確立のための闘い、狭山再審闘争や差別糾弾闘争の強化、複合差別の視点を含めた男女平等社会の実現、自立自闘に向けた闘いと人材育成をはじめとした女性部組織の拡大など、地域でのとりくみの実践交流と論議を深め、活発な意見を出し合い集会の成功をかちとろう。
  さらに、部落解放運動だけではなく、すべてのマイノリティ運動を前進させるためにも、部落女性が団結し、牽引力となって、あらゆる差別をなくすために全力で闘いをすすめよう。


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