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部落問題資料室
NEWS & 主張
「在特会」を裁判で追究

「解放新聞」(2011.06.13-2522)

 【京都支局】在日特権を許さない市民の会(在特会)と称する輩が一昨年12月4日に京都朝鮮第一初級学校を襲撃するなどした事件で裁判が続いている。昨年4月14日の徳島県教組襲撃事件と併合審理になっていた刑事事件は4月21日、京都地裁で判決があり、被告全員に有罪判決がでた。民事は4月19日に第4回口頭弁論が京都地裁でひらかれ、心労など教職員が受けた被害がいかに大きいかが訴えられた。

民事裁判
心労などの被害を訴える
  4月19日、朝鮮学校襲撃事件裁判(民事)の第4回口頭弁論がひらかれた。原告側弁護団は、教職員の心理的負担や対応についやした時間、労力がいかに大きいかをのべた。在特会側の弁護人は在特会自身に訴訟能力がない、などとのべた。
  10人の弁護団は、襲撃事件から1年以上経過した今日でも学校周辺の見回りなど、さまざまな対応をせざるをえず、学校事業への支障、教職員の心労、無言電話や抗議電話への対応など時間的、労力的な負担など、被告の不法行為による高額の無形損害が認定されるべき、とのべた。
  また、弁護士費用についても、在持会が裁判所の仮処分決定を無視した違法行為への対応、刑事手続きの対応など、過去の判例に照らし、高額の費用が認められるべき、とのべた。
  在特会側の弁護人は、在特会は法人格のない市民の集合体であり、訴訟能力があるかは疑問、民族教育事業への支障というが飛躍があり、理念と実態とでギャップがある、とのべた。
  裁判後、弁護士会館で報告集会。塚本誠一・弁護団長が、「法廷を埋めつくし、ヘイトクライムや民族教育否定を許さない(*注)法廷に」とあいさつ。京都朝鮮学園の孫智正・理事長は東日本大震災の被災者に思いを寄せながら、東北の朝鮮学校でも被災者支援をおこなっていることをのべた後、保護者からのメッセージを読みあげた。
  また、朝鮮学校襲撃事件裁判を支援する会の金尚均代表(龍谷大学法科大学院教授)は、「裁判の目的は2つ。今の刑法で犯罪にならないヘイトクライムを犯罪とさせる大きな足がかりに。民族教育権-民族の言葉で学ぶ権利保障の足がかりにすること。熱く見守ってほしい」と訴えた。
  *「ヘイトクライム」とは、民族や性的指向などへの差別や偏見にもとづく憎悪が動機となって起こる犯罪の総称で、諸外国では処罰の対象になっている。日本でも、差別禁止法の制定が必要である。支援する会は、差別禁止法や「人権侵害救済法」の制定を訴えている。

刑事裁判
「許容の余地なし」と有罪判決
  在特会が京都朝鮮第一初級学校と徳島県教組を襲撃した事件の双方に関与し、威力業務妨害罪、侮辱罪などで起訴された4被告への判決が4月21日、京都地裁であった。
  首謀者の西村被告に懲役2年、放送設備を切断し器物損壊罪にも問われた川東被告に懲役1年6月、荒巻被告に1年8月、中谷被告に1年の判決。「政治的言動の自由」の主張を一蹴し、「許容の余地なし」としたものの、「改める」といっているからと4人全員に執行猶予4年がついた。
  川東被告は公判中の今年1月22日、奈良の水平社博物館前で「エッタの博物館」「どエッタの発祥の地」などと差別暴言の数かずをほしいままにし、3月22日の最終意見陳述では学校の放送設備切断を「子どもたちの感電死を防ぐため」であり「国の宝の生命を守ることができた」とうそぶいている。
  また、最終意見陳述で西村被告は「相手が最も嫌がる抗議をつらぬく」と宣言しており、荒巻被告は自らが告訴され、逮捕、起訴されたことを「国家権力をつかった暴力」とのべて被害者然としている。中谷被告は最終意見陳述でも「三国人」発言をおこない、「行動を起こしたのは愛である」とのべて失笑を買っている。


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