いのちと生活を守る長期的な東日本大震災復興支援体制を確立しよう
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3月11日の東日本大震災から3か月以上が経過した。しかし、被災地では、いまだに多くの人たちが避難所生活を送っている。6月の時点での警察庁の発表によれば、死者は約1万6000人、行方不明者が約7000人、避難者は、約8万6000人となっている。まさに未曾有の大災害である。
われわれは、大震災以降、復興支援カンパを全国的にとりくむとともに、東北地方の部落の被害状況をはじめ、被災者情報などの提供をよぴかけてきた。また、障害者施設やハンセン病療養所、朝鮮学校、さらに狭山住民の会や、狭山100万人署名報告集会に協力してくれた関係者などの被災状況についても、連絡を取り合ってきた。
東北地方の部落に関しては、未組織部落が圧倒的に多いものの、沿岸部に地区がないことから、津波被害などはなく、家屋損壊などが多く報告されている。
また、これまでの復興支援カンパは約1100万円、それ以外にも、都府県連独自で、それぞれの地元行政や社会福祉法人などにカンパが届けられている。中央本部で集約したカンパについては、第1回中央委員会でも論議されたように、社会的マイノリティの支援に役立つことを基本に検討していきたい。
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被災地支援のボランティアについては、埼玉県連のよぴかけにより、第1次(4月17~25日)、第2次(5月28日~6月12日)をとりくんだ。岩手県を中心にしたこのボランティア活動には、関東ブロックの都県連はもとより、全国から多くの参加があった。3
6月20日、復興に向けた国の基本理念や枠阻みを定めた「復興基本法」がようやく成立した。福島第1原発事故への対応、その後の情報開示のあり方などを含めて、これまで、被災地で苦しむ人たちを見据えた復興策、支援策が取られてきたとはいえない。
仮払い補償金や義援金を受け取った被災者への生活保護の打ち切り、子どもたちへの法律で定められた被曝線量の上限を無視する措置など、今回の大震災からの「復興」にかかる「しわよせ」を市民におしつけてはいけない。
そもそもリーマンショック以降の日本経済の崩壊過程を見据えることもなく、今回の大震災と原発事故を電力消費量の問題に単純化することはできない。小泉政権時の市場経済主義政策の弱肉強食の競争社会により、社会的弱者が大量に作られてきたことをふまえ、弱者救済の視点に立った復興策が求められている。
われわれがめざすのは、いのちと生活を守る協働したとりくみをすすめるまちづくりであり、社会と人、人と人の関係を創り出し、切り結ぶ営みである。
差別撤廃と社会連帯を掲げた部落解放運動を前進させ、被災者とともに、どのような復興支援が必要かをしっかりと議論し、長期的な復興支援体制を確立しよう。
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