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部落問題資料室
NEWS & 主張
共生の方向探る
平和遺族会が25周年

「解放新聞」(2011.08.08-2530)

 「平和・和解・共生の東アジアを創ろう」「管内闇は8.15靖国不参拝の継続を」と掲げ、7月2日午後、平和遺族会全国連絡会(代表・西川重則)は結成25周年記念の集いを東京・在日本韓国YMCAアジア青少年センターでひらき、59人が参加。立教大学法学部の李鍾元(リー・ジョンウォン)教授を講師に東アジア情勢を学び、平和・和解・共生の方向を探った。
  李教授は、「まさにいま、日本は21世紀型の違う社会を築こうという時期。この悲劇(東日本大震災)が起きたので実践せざるをえない。日本がどういうモデルを示せるか、ある種の危機でもありチャンスでもある」「北東アジアの一番の問題は、ひじょうに序列、垂直的な国際観が強いこと。本当に水平的な、平等、対等な認識を持っていけるかどうかが問われる」「基本的には中国とのつきあいをどうするかが日本の最大の課題」と指摘した。
  政権交代後の「尖闇」での衝突。中国経済が日本を抜いた矢先の東日本大震災。これら政治の空白・無関心の隙に、防衛計画大綱(10年12月)や日米安全保障協議委員会(11年6月)など官僚・メディアの「中国脅威論」への一面的動向があると警戒を表明し、「危機のときこそ、多元的な見方が必要だ」と訴えた。
  とくに中国内部の多様性(軍産複合体的な強硬派と穏健派の対立)や米中の協調と対立、「中国で強硬派が強まると日本で強硬派が強まる」という「強硬派同士の相互依存」の構図-外交は双方向の相互作用である事実への着眼を強調。東南アジア諸国連合の外交戦略も参考に「バイ(2国間)よりマルチ(多国間)」の地域枠組み作りへ、総合的な戦略をと訴え、「中国、北朝鮮脅威論の背景にあるものを市民が見張るべき」と語った。
  西川代表は「憲法と靖国思想を問う」と題して問題提起。参院での憲法審査会規定の可決(5月)、大阪府の「国旗・国歌条例」(6月)など危険な動向を指摘し、侵略戦争の反省と、天皇制・国家神道体制克服に向けた日本国憲法の第9条(戦争の放棄)、第19条(思想・良心の自由)、第20条(信教の自由)の意義を強調。「侵略をくりかえしてはならない。日本の国をよき方向に」と訴えた。
  平和遺族会全国連絡会は、85年8月15日の中曽根康弘首相(当時)の靖国神社公式参拝に抗議し、86年7月7日に結成した。北海道から沖縄まで14の平和遺族会の連絡会。首相・閣僚・都知事の靖国神社公式参拝に反対し、武力によらない平和・共生の道を歩もうと活動している。

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