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部落問題資料室
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人権週間へ向け、各地で準備を積み重ねよう

「解放新聞」(2011.11.21-2544)

 「世界人権宣言」は、1948年12月10日、第3回国連総会で採択された。第2次世界大戦の深い反省から「差別を撤廃し、人権を確立することが恒久平和に通じるものである」として、国連はこの日を「世界人権デー」と定め、日本も、12月4日から10日を「人権週間」としている。
  この「世界人権宣言」の精神をふまえて、具体的な差別問題の解決と人権の確立に向けて、国連では31の人権関係条約が採択されている。また、地域別では、欧州人権条約、米州人権条約、アフリカ人権憲章などがある。残念ながら日本では、国際人権規約や人種差別撤廃条約、女性差別撤廃条約、子どもの権利条約など13条約を締結しているにすぎない。しかも条約の重要な部分、とくに差別を規制・禁止する事項や個人通報制度などについて留保しているものが多い。
  毎年、全国各地では、人権週間のとりくみがすすめられている。部落差別をはじめ、さまざまな差別の実態を広く訴え、部落解放・人権政策確立に向けた活動を強化しよう。

 世界では、いまだに民族紛争や宗教対立、独立問題などによって、多くの難民が生みだされ、とくに女性や子どもたちが差別や貧困、さらには人身売買などの犠牲になっている。また、ニューヨークのウォール街での抗議デモのように、失業問題、貧困・格差問題は世界中で深刻化している。
  日本でも、生活保護受給者が過去最多の205万人をこえた。年間自殺者も12年連続で3万人をこえている。市場原理主義のもとで強行された「構造改革」で、失業と貧困問題が大きな社会問題となったが、社会的セーフティネットが機能せず、一方で「自己責任論」が押しつけられてきた。こうした閉塞した社会状況のなかで差別事件や人権侵害がおこっている。「在日特権を許さない市民の会」(在特会)や「鳥取ループ」などの確信犯的な差別言動がネット上を中心に平然と掲示されるほどに、今日の日本社会のなかで差別問題・人権問題にたいする関心が薄れているのである。

 第2次世界大戦で、日本は中国、朝鮮をはじめとして、アジア・太平洋諸国への植民地支配と侵略戦争によって多大な被害をもたらした。しかも、広島・長崎への原爆投下、無謀な沖縄戦によって、国内にも多くの犠牲者を生みだした。軍国主義の暴走を止めることもできず、こうした侵略戦争をひきおこした深い反省から、日本国憲法が制定されたのである。
  「世界人権宣言」は、人類共通の課題として、人権確立をめざすことが、世界の平和と民主主義の実現に大きく寄与することを明確にしたものであり、憲法もそうしたことに不断の努力が必要であるとしている。しかし、部落解放運動やさまざまな人権問題にとりくむ活動が広がりつつある一万、部落差別はもとより、確信犯的な多くの差別事件や人権侵害がおこっている。いまや、人権侵害救済制度をはじめとした人権の法制度確立は急務の課題である。政府が批准している「人種差別撤廃条約」や「女性差別撤廃条約」などが提出を義務づけている報告書にたいする勧告のなかでも、国内人権機関の設置の必要性が強く指摘されている。まさに深刻な差別の実態、人権侵害状況の反映といえる。
  さらに、「人権教育・啓発推進法」の積極的な活用も重要な課題である。人権週間のとりくみのなかで、差別の実龍巻広く訴え、平和や人権の確立や「人権侵害救済法」制定、人権教育・啓発の充実に向けた活動を強めよう。


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