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部落問題資料室
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来年の通常国会で「人権侵害救済法」の制定をかちとろう

「解放新聞」(2011.12.19-2548)

 第179臨時国会が12月9日閉会した。臨時国会では、東日本大震災の復興支援策を中心にした第3次補正予算、復興庁設置法や復興特区法などの復興関連の法律が成立したものの、国会最終盤では、防衛大臣、消費者担当相の問責決議が参議院で可決され、与野党の対立が深まったまま、来年の通常国会を迎えることになった。
  部落解放・人権政策確立要求中央実行委員会は、「人権侵害救済法」早期制定に向けて、11月30日に中央集会を開催した。また、中央集会前段のとりくみとして、緊急に国会集中行動を各都府県実行委員会に要請、20府県実行委員会が積極的にとりくんだ。
  また、この間、7月には、日本労働組合総連合会(連合)が、「2012年度・連合重点政策」にもとづく法務省との政策協議で(「人権侵害救済法」の制定促進を江田五月法務大臣(当時)に申し入れた。さらに、10月には、部落解放中央共闘会議(議長=加藤友康・情報労連委員長)が平岡秀夫法務大臣、民主党の輿石東幹事長、前原誠司政策調査会長などに、同様の申し入れ行動にとりくみ、日月には愛媛人権対策協議会が中央集会を開催するなど、中央実行委員会加盟団体でも精力的なとりくみがすすめられた。

 政権交代から2年余り、われわれは、部落解放・人権政策の確立、とくに「人権侵害救済法」制定に大きな期待を寄せるとともに、その実現に向けてとりくみを強化してきた。政府も、10年7月には、当時の千葉景子法務大臣が「新たな人権救済機関の設置について(中間報告)」を公表し、本年6月には、「人権侵害救済機関検討プロジェクトチーム」(PT)の「人権侵害救済法中間とりまとめ」を受けて、8月に、法務省政務三役名で「新たな人権救済機関の設置について」(基本方針)が出された。
  基本方針は、「中間とりまとめ」とほぼ同じ内容で、人権委員会は法務省の外局に、「3条委員会」として設置し、政府からの独立性を確保するとしている。現在、「3条委員会」として設置されているのは、国家公安委員会や公正取引委員会などがある。
  地方組織は、「全国所要の地に事務局職員を配置し、同委員会の任務を実現するための諸活動を行わせる」として、法務局や地方法務局を活用することとしている。また、メディア規制は削除し、報道機関に自主的とりくみを要請している。さらに、法律の条項として「制度発足後5年の実績を踏まえて、必要な見直しをすることとする」と明記している。
  差別事件、人権侵害は、われわれの日常の生活のなかで生起する。そのためにも、政府が策定する法案が中央実行委員会が示している法案に近づくように、人権委員会の独立性、委員会の構成はもちろんのこと、「人権委員会のあるべき姿」をしっかりと論議し、実効性、迅速性、簡易性のある救済制度を確立していくことが重要だ。

 われわれは、中央集会の基調で確認したように、「民主党政権のもとで法案を実現する」という基本的なとりくみ方向のもとで、「人権侵害救済法」早期制定の闘いを全力をあげてすすめていこう。この間のとりくみの大きな成果として、政府は基本的な方向を打ち出した。平岡法務大臣も、「つぎの通常国会に法案を出せるように」とのべている。
  われわれは、「部落解放基本法」制定の闘いいらい、人権侵害救済制度の確立に向けてとりくんできた。とくに、確信犯的な差別扇動など、差別の実態を放置している立法不作為の状態をただちに解消していくことを求めてきた。多くの差別事件、人権侵害事件がおこりながらも、救済制度がまったくないまま、差別を放置している政治の無責任さは許されない。
  さらに、救済制度とともに、責任ある行政機構の確立も重要な課題である。部落問題の解決をはじめ、日本の人権政策をすすめる人権省(庁)、人権局などの体制の整備、確立もすすめていかなければならない。
  いよいよ「人権侵害救済法」制定に向けたとりくみの総仕上げだ。反対派も活動を強めており、きびしい情況もあるが、来年の通常国会での法制定のために、ひき続き地元国会議員への要請を強めるとともに、法案がわれわれの想いに一歩でも二歩でも近づくように、断固とした闘いを全国ですすめよう。


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