「解放新聞」(2012.02.20-2557)
「建国記念の日」を考える2.4集会-アジアとの連帯を求めて-」を2月4日午後、東京・自治労会館でひらき、250人が参加した。今年4月から中学校で使われる教科書をめぐり、天皇の存在の美化など多くの問題がある歴史や公民の育鵬社販(「つくる会」系)教科書が横浜市など約4%の自治体で採択された問題で講演や報告を受け、闘いの方向を探った。
主催は、フォーラム平和・人権・環境(平和フォーラム)。
未決着の沖縄・八重山地区(石垣市、竹富町、与那国町)での闘いは、沖縄平和運動センターの山本隆司・副議長が報告した。
3000人の竹富町から教育を問う
山本さんは、育鵬社販をめざす石垣市教育長が、教科書選定をめぐり構成される3市町の八重山地区採択協議会について、現場教員の排除へ規約や人選を一方的に変え、非公開で育鵬社販公民教科書に決め、3市町に答申したこと。それにたいし、竹富町教委が別の教科書を採択したため、3市町一本化へ3市町の全教育委員13人が9月8日に協議し、育鵬社版ではなく東京書籍版を採択し、県教委も認めたこと。しかし、この間の文科大臣が、自民党の一部議員の横やりを受けて、この協議を無効とする発言をするなど答弁を迷走させている現状を語り、「人口3000人の竹富町の反旗は、日本の教育、教科書行政を根本から変える力になりうる」と支援を訴えた。
講演では、琉球大学の高嶋伸欣・名誉教授が、採択問題の構造や背景を分析。憲法、とくに9条改悪へと「世論を変えるのに学校教育を使おうとしている」と指摘し、天皇絶対の国づくりに果たした「教育勅語」の役割を例に「今度は前例があるのだから「気がつかなかった」のいいわけはできない」と4年後もみすえた全力での闘いを訴えた。採択権をめぐる「無償措置法」と「地方教育行政法」の矛盾や、教育意見を反映させる閣議決定(97年)も紹介し、「解毒本(逆手活用本)」づくりや教委採択制廃止への法改正、アジア・沖縄との連帯強化をと訴えた。
主催者あいさつで、福山真劫・平和フォーラム代表は、脱原発署名を訴えるとともに、普天間基地、TPP、不公平税制、日朝国交正常化、日本軍「慰安婦」問題、朝鮮高校の授業料などでの野田政権の対応を厳しく批判し、とりくみ強化をよびかけた。「教科書問題で、歴史認識について日本が朝鮮半島、中国へ侵格、植民地支配し、戦後補償がいまなおきっちりできていないことをはっきり押さえながら、明確な方針をもって対応したい」と表明した。
未来のビジョンを示し運動の展開を
特別報告では、「アジアの平和と歴史教育連帯」のカン・へジョン国際協力委員長が、民主化へ闘う韓国社会から見た目本右傾化への危機感を語り、連携した闘いをと訴えた。横浜市の教科書採択の経過などを小原慎一・神奈川平和運動センター事務局長が報告した。
藤森泰成・平和フォーラム事務局長は「歴史認識は未来のビジョンを語ること。グローバルな世界のなか、将来を担う子どもが、世界が認めない歴史観を学んでどうするか。しっかりした未来のビジョンを示し、運動を展開したい。いろんな場で議論し、新しい社会のあり方を創りあげよう」とまとめた。
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